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東南アジアで進む権威主義の深化と政治の王朝化 インドネシア大統領選でプラボウォ組が圧勝

東洋経済オンライン / 2024年2月20日 10時0分

ところが21世紀に入り、2006年と2014年にタイでタクシン派政権を追放する軍事クーデターが発生した。2011年にようやく民政移管したミャンマーでも、2021年に軍が武力でアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)政権を制圧し、時計の針を大きく戻した。

選挙を実施するフィリピンでもドゥテルテ前政権が、カンボジアではフン・セン体制が強権化を進めた。

東南アジアの民主化の行方

前出Ⅴ-Demの「民主主義報告書2023」は、世界の市民が享受している民主主義の水準は2022年に1986年の水準まで低下し、過去35年間に経験した民主主義の進歩は振り出しに戻ったと指摘した。フィリピンで政変があった年まで後退したというのだ。

そのV-Demが「東南アジアでは最も民主化されている」と評価したインドネシアでも、ジョコ政権は2021年に独立機関だった「汚職撲滅委員会」を行政組織に再編して弱体化させ、2022年の刑法改正では大統領や政府への侮辱を犯罪とする条項を盛り込んで言論統制を強めた。

もちろん独裁者の子どもが独裁者になるとは限らない。フィリピンのマルコス大統領は、前任者が違法薬物取り締まりや政敵弾圧で剛腕を奮った後だけに、権威主義的傾向は目立っていない。

カンボジアのフン・マネット首相もソフトムードの滑り出しだ。インドネシアでプラボウォ氏が選挙戦で振りまいたイメージ通りに強権を封じて政権運営に当たるのかどうかは、東南アジア全体の民主化の行方を占う試金石となる。

柴田 直治:ジャーナリスト、アジア政経社会フォーラム(APES)共同代表

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