EU版iPhoneの「退化」を日本も無視できない理由 DMA対応でアプリストアなど開放、リスクは増大
東洋経済オンライン / 2024年2月27日 11時0分
「これらのセーフガード措置を実施してもなお、多くのリスクが残ります」――。
【写真で見る】DMAに対応したiOSについてアップルは、「多くのリスクが残る」などと警告している
3月初旬、EU域内でiPhone向けの新しいOS、iOS 17.4のリリースが予定されている。
iOS17.4以降は、欧州委員会が施行したデジタル市場法(DMA)に対応するための大幅な仕様変更、追加機能が盛り込まれる。DMAの規定に沿って、EU域内ではiPhone向けのアプリストア、Webブラウザエンジン、決済サービスなどが自由化され、ユーザーは自由に選択できるようになる。
安全性やプライバシーを守るための機能の進化は、悪意あるアプリケーションやサービス開発との競争の歴史でもある。その観点で言うならば、ヨーロッパ版iPhoneは“退化”することになる。
アップル自身が自社サイトで冒頭の通り警告するように、これまでは存在しなかったiPhone向けのウイルス、マルウェアが生まれるリスクをはらむからだ。
近い将来日本でも同じ対応が?
EU版iOS 17.4以降のアップデート内容は極めて広範囲にわたり、App Store以外のアプリマーケットやアプリ内決済サービス、WebKit(アップル開発のブラウザエンジン)以外を用いたウェブブラウザ、Apple Pay以外のNFC決済サービスなどが解禁となる。
今回はEU域内にとどまるアップデートだが、日本のユーザーにとっても他人事ではない。
政府のデジタル市場競争本部が作成した「モバイル・エコシステムに関する競争評価」の最終報告に記載されている、スマートフォン向けOSの規制内容と近いものだからだ。つまり、DMA対応のiPhoneは“近い将来の日本におけるiPhone”となる可能性が高い。
DMA対応が施された新しいiPhoneを歓迎する開発者やアプリ開発会社も少なくはない。ある一面を取り出せば利点もある。
例えばWebKit以外のブラウザエンジンが利用可能になるため、アップルが力を入れていないジャンルのウェブ技術への対応が進む可能性がある。これまでは、たとえグーグルのChromeなどを利用する場合でも、そのエンジンはアップル製のWebKitでなければならなかった。
現在のWebKitは、WebXRという拡張現実のウェブ標準に追いついておらず、機能的に低く安定性にも乏しい。代替ブラウザエンジンが利用できれば、こうしたジャンルのウェブ標準に対応する手段が拓ける。
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