福永祐一、30歳を過ぎて「ゼロから学んだ」背景 執着のなさこそ、自分の最大の強みだった
東洋経済オンライン / 2024年3月6日 17時0分
笑われたことを気に病んで傷ついてしまうようなプライドなら、それはプライドとは言わないと自分は思う。
プライドとは、仕事にしろ何にしろ、積み重ねた先に生まれるものだと感じている。自分が生きていく中で「これだけは譲れない」という思いがあり、それを貫いてプライドに昇華したものなら守るべきものだと思うが、何も積み重ねていない段階で「そんなことをしたらカッコ悪いから」といった判断をするとして、そこにプライドという言葉を使うことには違和感がある。
たとえば、若手のジョッキーが何らかの理由で乗り替わりになったとする。その後、もう一度その馬の騎乗依頼が来たとき、「以前の乗り替わりでプライドが傷ついたから」という理由で断るケースを見てきたが、「それは違うだろう」と自分は若い頃からずっと思っていた。
だから、30歳を過ぎて鐙上げしている姿を笑われても平気だったのは、そもそもそこで傷つくようなプライドを持っていなかったから。ものすごくシンプルなことだ。
バカにされるのに慣れていたという耐性もあったが、今まさに騎乗技術を身につけようという過程にあり、まだ何も積み上げていなかったからこそ、傷つきたくても傷つきようがなかった。
和男さんの一言で藤原英昭厩舎の門戸を叩き、馬乗りの基礎から学び直した結果、レースの中で自分の変化をつぶさに実感できるまでになった。
それまでも、トレーニングにしろ何にしろ自分に合った方法を模索し、良いと言われるものは積極的に試してきた。それらが無駄だったとはまったく思わないが、藤原厩舎での日々を経て、やはりこうして人の手を借りることの重要性を痛感せざるを得なかった。
自分の力だけでは伸びしろは増やせない。ここからさらなる技術向上を目指すのであれば、コーチのような存在が必要なのでは──そんなことを考え始めた。
もちろん、このまま藤原厩舎で研鑽を積むのも一つの道ではあったが、別の厩舎の管理馬に乗ることもある以上、調教師と騎手、厩舎スタッフと騎手は利害関係にある。
理想はやはり、利害が完全に一致した人と上を目指すこと。つまり、自分専属のコーチがいる環境がベストだと考えた。
マイナーチェンジではトップを獲ることは不可能
そこに思い至ったのは、藤原厩舎で学び、自分の変化を感じられたからこそだ。あのときに「ウチの厩舎を手伝わないか?」と声をかけてくれた和男さんには、今でも心から感謝しているし、人と人との縁というものには、人生を動かす力があることを改めて感じる。
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