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北海道の根室線、「鉄路消滅」で沿線はどうなる? 『鉄道員』『北の国から』ロケ地の駅も廃止に

東洋経済オンライン / 2024年3月6日 6時30分

北海道南富良野町の根室線・幾寅駅。映画『鉄道員(ぽっぽや)』のロケ地で「幌舞駅」の看板を掲げる(記者撮影)

北海道南富良野町のJR根室線・幾寅(いくとら)駅では、「幌舞駅 HOROMAI STATION」と書かれた木造駅舎入り口の看板がレトロな電灯に照らされて存在感を放っている。本名の「JR幾寅駅」の表示が端のほうで遠慮気味なのとは対照的だ。

【写真を見る】映画『鉄道員』の世界に浸れる根室線の幾寅駅。7年半もの間、列車が走らず雪に埋もれた線路も。

幾寅駅は故・高倉健さんが主演を務めた1999年公開の映画『鉄道員(ぽっぽや)』のロケ地になった。現在は駅舎内部で衣装や小道具を展示。駅前に「だるま食堂」や「ひらた理容店」などのセット、撮影で使用された「キハ40形」の先頭部が保存されている。

2016年から不通の区間も

直木賞を受賞した原作の短編小説を浅田次郎氏が執筆したのは1990年代半ばのことだ。「したらさ、なして廃線にすんの」「そりゃおまえ、輸送密度とかよ、採算とか、そういう問題だべ」。小説の冒頭場面に出てくるやりとりは、これまで北海道各地で何度となく聞こえてきたに違いない。

鉄道員の舞台は「幌舞線」の終着駅の設定だが、実際の幾寅駅は根室線の途中に位置する南富良野町の玄関口となる駅だ。だが、2016年8月の台風による大雨被害で同駅を含む区間が不通となり、もう7年半もの間、列車が発着していない。そして同駅を含む、根室線の富良野―新得間81.7kmは2024年3月末の運行を最後に廃止されることになった。

JR根室線は、道央の滝川駅から道東の根室駅に至る443.8kmの長大路線。途中、富良野や帯広、釧路といった観光・産業の主要都市を経由する。滝川で函館線、新得で石勝線と接続する。滝川―新得間はかつて北海道の東西を結ぶ中心的な役割を担っていたが、1981年の石勝線(南千歳―新得間)開通により、特急の定期列車が走らないローカル線となった。

2024年3月末限りで廃止の富良野―新得間には、途中駅として布部、山部、下金山、金山、東鹿越、幾寅、落合が並んでいる。2016年8月の大雨の被災後、富良野―東鹿越間は同年10月に再開したが、東鹿越―新得間は鉄道の復活を見ることなく、最後まで列車代行バスで運行される。

廃止区間の始発駅、富良野では滝川方面からの根室線、旭川方面から富良野線が合流する。夏はラベンダー、冬はパウダースノーが自慢のスキー場など、北海道を代表する観光地らしく外国人旅行者の姿も目立つ。「オムカレー」といったご当地グルメも人気だ。テレビドラマ『北の国から』の舞台としても有名で、周辺にロケ地が点在している。

『北の国から』ゆかりの駅も廃止

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