白い恋人に似てる?「白い針葉樹」作る会社の挑戦 摘果リンゴ使ったお菓子「りんご乙女」も販売
東洋経済オンライン / 2024年3月7日 13時0分
発売から今年で29年。「りんご乙女」は食品のミシュランガイドと称される欧州の国際味覚審査機構(iTQi)で16年連続三つ星を獲得する快挙を達成している。近年はアジアの観光客からも人気を集め、コロナ前の最盛期には1日最大6万枚を生産するほど、名実ともに産地を代表するロングセラーの土産品として成長した。
リンゴ生産農家を台風被害が襲う
北沢さんが、生産農家としてマツザワの存在の大きさに圧倒されたもう1つの忘れられない出来事がある。2022年9月、長野地方を襲った猛烈な台風14号が、収穫を間近に控えた北沢さんの農園の果樹400本をなぎ倒したのだ。実りが不十分で傷が多く、青果でも加工用でも売り物にはならない。愕然としながらも真っ先に頭に浮かんだのは、マツザワだった。
窮状を知って駆けつけたマツザワの取締役である田中久雄さんと森本康雄さんは、こう約束した。
「摘果リンゴと同じ条件で買い取らせていただきます」
落ちたリンゴは全部で6トンもの量に上った。買い取ったリンゴはそれからまもなく、新商品「りんごスティックパイ果の山」となって、各地の土産売り場を飾った。
北沢さん夫妻にとって、台風の被害は、経済的にも精神的にもつらい損失だったが、「商品開発や流通を担ってくれる、いざというときに駆けつけてくれるマツザワさんがいるから、また頑張ろうと思える」と語る。
昨年の秋、取材で訪れたその農園には、新しく植えられた若いリンゴの樹が一面に広がっていた。「産地」が守られ、続いていく。生きた事例が確かにそこにあった。
商品開発と合わせてマツザワが力を注ぐのが、山から海の向こう側へとつなぐトンネルを掘るような販路開拓だ。コロナ禍の間、全国各地の土産売り場が休業を余儀なくされる中、縮小するどころか、積極投資を仕掛けた地域がある。
那覇空港や、沖縄の百貨店でも販売
アジア向けの商品の「見本市」「出口」になることを見越して2017年に進出した沖縄だ。那覇空港国際線の保安検査場内で土産菓子を販売する店舗の営業権を取得し営業していたが、コロナ禍の始まりとほぼ同時に航空会社20社の週200便が全便停止となり、国際線の閉鎖期間は2年7カ月にも及んだ。
だが、各地の生産者やメーカーとつながるマツザワにとって、アジアにつながる沖縄の「城」を容易に手放すわけにはいかない。売り場従業員の雇用を守ったまま、追加資金を投じて店舗を拡張し、再始動に備えた。
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