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株価が暴落するかしないかは大した問題じゃない バブルで何を失ってしまったのか

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 8時30分

しかし、ここで重要なのは、BISの見解が正しいということよりも、「どちらの見解をとるにせよ、実体経済への悪影響が、バブルの罪として最大のものだと誰もが認めている」ということだ。

その意味で、実体経済への被害が少ないバブルであれば、バブルの中では「まし」なほうだ、ということである。そして、それは銀行システムへの影響がカギとなる、ということである。

これは、現在もリーマンショック時も、FEDが巨額の「国債などの資産の直接買い入れ」を行ったのは、銀行システムおよび金融市場を含む金融システムを守るためであり、株式市場そのものではなく、ましてや株価の下支えということではまったくない。

それにもかかわらず、欲望にまみれた市場関係者たちは「グリーンスパンプット」「バーナンキプット」などという言葉を臆面もなく使い、相場が下落したときに効果を発揮するプットプションのように、中央銀行が金融緩和策で助けてくれると期待した。

また最も鈍感な人々は、何の疑問も持たずに、中央銀行の金融政策は株価対策のためにあると思い込んでいたし、今もそう思っている人は少なくない。だが、FEDは株価の暴落など気にしない。

確かに、下落が景気に与える影響については考慮に入れる。ただし、あくまでインフレファイターがメインの役割だと思っているし、その基準で行動している。

さて、銀行システムへのダメージというのがバブルの最大の悪影響であることは学会のコンセンサスであるが、日本の1980年代のバブルが1990年代の日本経済を破壊した例を思い出せば、一目瞭然である。

不動産バブル崩壊で銀行の資本が毀損し、銀行はバランスシートの修復を迫られた。そこで彼らは、貸しはがし、貸し渋りを行った。つまり、新規の不動産関連融資などはもちろん全面停止だが、それだけでなく、不動産とも、さらにはいかなるバブル的な活動とも無関係の融資先や地道に仕事をしていた町工場、中小企業にも行った。バブル崩壊のダメージは健全な業種へも幅広く波及した。

さらに皮肉なことに、バブル的な活動を行っていた企業には追い貸しを行った。つまり、バブル的活動により損失が膨らんだ企業から融資を引き上げることをせず、むしろ追加的に融資したのである。

典型的なのがゼネコンだった。融資を引き上げてしまうと、大企業であるゼネコンが倒産してしまい、すべての融資が損失になってしまう。そして、もっと手前の不良債権も、不良債権であることが明確になってしまうと、全額を引き当てなければならない。そうすると今度は、銀行自身が債務超過になり破綻してしまうリスクがあるから、不良融資先の不良債権を不良化させないために、追加融資を行ったのである。

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