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株価が暴落するかしないかは大した問題じゃない バブルで何を失ってしまったのか

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 8時30分

バブルにまみれた企業は追加で救済融資に恵まれ、バブルとまったく無関係な健全な町工場は貸しはがされて、倒産あるいは廃業を迫られたのである。これが、あまりに理不尽なバブルの悪影響である。

バブルは30年をかけて日本経済をとことん破壊した

しかし、今回のコラムのメインの主張はその先にある。

日本経済は、1990年代が「失われた10年」といわれ、その後も経済の停滞が続いたとされ、2000年代も2010年代もだめで、「失われた30年」と呼ぶ人も多い。

だが実際にはこれは誤りで、2000年以降、景気はよくなったり、悪くなったりし、つまり普通に景気循環があり、欧米よりもインフレ率が低かった以外は普通だった。人口減少、とりわけ労働力人口の減少が大きかったことをかんがみれば、経済成長率はアメリカ以外の先進国の中では普通、生産年齢人口1人当たりで見れば最優秀の部類だった。

しかし、確かに、日本経済は30年間という時間を失った。30年かけて、すばらしかった日本経済と日本社会を破壊し続けてきたのである。そして、それはすべてバブルのせいなのである。

どういうことか。まず、そもそも「本当の」失われた30年(正確に言えば、日本経済をだめにした30年)とは、1980年代半ばに始まる。つまり、バブル絶頂期である。これが日本経済をとことん破壊した。

日本は世界最強の経済を謳歌していた。欧米諸国が2度のオイルショックに苦しみ、インフレーション、スタグフレーションに苦しみ、高い失業率、永遠に停滞するかに見えた株式市場で、陰鬱な経済社会となっていたのに対し、日本経済は世界一の品質の製品を誇り、省エネでエネルギー危機を乗り切り、インフレのコントロールにも成功し、労使関係は良好、世界一の経済であり、将来性も世界一に見えた。完璧だったのである。

「失われた30年」の根本的な原因とは何なのか

しかし、それが慢心を招いた。ものすごく儲かった。消費におぼれる人々に対しては、何でも売れた。だから、ただバブリーなものを売り出せば高く売れた。

サービス消費も、多くは社用、経費による支出だったから、目利きをする消費者は存在せず、限られた予算の下で見る目の厳しい消費者に選ばれる製品づくりというモデルは、特にサービス産業で失われた。

成熟経済、真に豊かな消費社会におけるサービス産業のビジネスモデル戦略を立てる企業がなかったのである。既存の企業が今までどおり、そして好き勝手にやっていれば儲かった。インバウンドの金持ちの観光客を相手にするようなものである。ちょろい消費者相手に、楽をして稼いだのである。

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