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株価が暴落するかしないかは大した問題じゃない バブルで何を失ってしまったのか

東洋経済オンライン / 2024年3月9日 8時30分

日本で騎手がスターでありすぎることによって、何が起こるか。調教師が、巨大な生産者である社台グループと、スターである騎手(社台グループがプッシュする騎手でもある)の狭間で、中間管理職のような中途半端な立場になってしまうのである。

このJRA調教師の微妙な立場が、実際のレースの結果に影響を与えた興味深い例が1つある。2月24日にサウジアラビアで行われたレースに出走したある日本馬は、前のポジションを取りに行ったが、行き脚がつかず、よいポジションは取れなかった。かつ、騎手が促したためにかかってしまい(興奮してしまい)、前半リラックスして走ることができず、惨敗してしまった。以下に、レース後のそれぞれの談話を抜粋してみよう。

まず、調教師は「可能ならポジションを取ってほしいが、スタート次第であとは騎手に任せる」と伝えたという。また、騎手も「ポジションを取れるなら取ってみる」ということでレースに向かった。その後はどうだったか。騎手は「ポジションを取ろうと思ったが、二の脚がつかず、後方からになった。それならば外を回らされるよりもましだと思い、馬群の中で脚をためた」という。

まさにチクハグだ。しかし、これは調教師が悪いのでもなく、もちろん騎手も悪くない。問題は、調教師がJRAの日本人調教師であり、騎手が外国人騎手であったことである。

日本以外の騎手にとっては、調教師の指示は絶対である。だから「ポジションを取ってほしい」と言われれば、必ず取りに行く。だから「ポジションを取ってほしいが、任せます」というのは、日本人的にはこうだろう。「基本的に任せる。あえてもっと明確に言語化すれば、ポジションが取れれば理想的だけど、この馬はいつもポジションが取れないから、まあ任せます」ということだ。要は「全部任せた」ということだ。

そして、調教師は「騎手よりも偉い」というのが常識というか、そういう契約上の決まりだということを意識していない。これは「JRA病」ではないか。

しかも、この外国人騎手が日本の関係者にとっては神様のような騎手である。だから「もちろん任せる。でも、あなたなら奇跡的にポジションを取ってくださるかも」などという、はかない夢をつい口走ってしまったのである。

一方、騎手のほうは明確だ。調教師の指示は絶対だから、ポジションは取りに行った。それでだめだったからプランBに移行した、ということだ。

多くの日本企業も「基本中の基本」ができていない

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