1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 社会
  4. 社会

子育て支援めぐり「連合と野党だけ」猛反発のなぜ 騒動の主役は「年金破綻論全盛時と同じ顔ぶれ」

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 9時0分

健保連は、健保組合に配る冊子『健康保険』(2024年1月号)の中で、「健保組合・健保連は、このような観点から、新たな法律に基づいて、年齢を問わず負担能力に応じて負担する『支援金制度』に実務上の協力をすることになった。医療保険者の本来の業務ではないが、社会保険制度の将来にわたる持続可能性の確保とこどもの健やかな成長に資することができるように適切に協力していきたい」と、健保連加盟の健保組合に理解を求めていた。

支援金は医療保険料ではないので、徴収は健保組合・健保連の本来業務ではない、しかし社会保険制度の持続可能性やこどもの健やかな成長に資するように協力をする――当事者による、諸々、正確な理解である。

加えてこの懇話会では、社会保障法学者の早稲田大学の菊池馨実教授は、少子化対策から受益するすべての世代、そして経済・社会全体が子育て世帯を支える、分かち合い・連帯の仕組みであるという説明には十分な合理性があり、だからこそ、同じく連帯の仕組みである社会保険のスキームを活用することになじむと論じられた。さらには、支援金制度を単なる財源調達のための技術的な手段と捉えるのではなく、その本質を捉えて、今の日本に必要な、新しい分かち合い・連帯の仕組みであり、社会保険制度のよって立つ基盤をさらに強固にすることにもつながるものと捉える視点が重要であるとも論じている。

そのとおりであろう。

こども・子育て支援の安定財源の確保については、1989年の「1.57ショック」以来長く議論されてきたことである。そしてようやく2021年の「骨太の方針」の中で「安定的な財源の確保にあたっては、企業を含め社会・経済の参加者全員が連帯し、公平な立場で、広く負担していく新たな枠組みについても検討する」と書かれるに至る。

その後の検討の中で、大本のところで少子化の原因でもあり、かつ少子化緩和の便益を受ける既存の社会保険制度を活用し、そのことは、社会保険制度のよって立つ基盤をさらに強固にし、国民のみんなの生活を支えている社会保険制度の持続可能性を高めることになるという理念を確認し、そうした理念を共有する与党が、このたび2月16日に、法案を提出している。

財務省の財政制度等審議会でも、2020年秋の建議で、「賦課方式をとる我が国の社会保険制度の持続性の確保や将来の給付水準の向上につながるものであることを踏まえると、医療保険制度を含め、保険料財源による少子化対策への拠出を拡充するという考え方」が示されていた。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください