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子育て支援めぐり「連合と野党だけ」猛反発のなぜ 騒動の主役は「年金破綻論全盛時と同じ顔ぶれ」

東洋経済オンライン / 2024年3月11日 9時0分

彼らに、別に対案があるわけではないようである。支援金については、ただ単に、社会保険の賦課・徴収ツールを用いることが許せないらしい。こども・子育て支援に関する連帯・分かち合いを具現化する支援金の理念を理解するには少々社会保障、再分配政策の知識が必要なのだが、その知識が足りないのか、理解したくないのかはわからない。だが、理念を共有できない人たちは、それぞれ党派に分かれ、党派の間で論争をすればいいだけの話である。

もちろん、政治アリーナにおいて、表面的には理念上の対立をするのが党派上の争いではある。しかしながら本当は、野党だから与党に反対するとか、それぞれの応援団も、公言できないような理由で一方の党派に付き、他方の党派に反対したりもする――それが昔から普通の人間社会の有り様である。

なぜ連合はこんなに反対するのか

どうして連合が、働く若い人たちを幸せにすることが確実な制度に、経済界も、そして高齢者も財政面から協力するという支援金に、こうも反対しているのかわからない。彼らは負担と給付の関係が不明確と繰り返しいっているが、今回は、使途が明確とされる「こども金庫」が創設され、支援金はその金庫の中での法定給付のみにあてられる。これほど支援金と給付のリンクが明確なものはない。

反対するという結論ありきの「為にする議論」を行うために、医療保険料の流用、制度が複雑、保険者自治の侵害など、誤解、無理解に基づく話題を持ち出しては国会審議の時間を費やしている。社会保険の賦課・徴収ツールは逆進的だと条件反射のように言う者もいるが、医療保険の賦課上限の賃金月額は139万円で、ほとんど比例の労使折半というほうが正確である。

いったい、誰に向けた質疑を行っているのであろうか。国民の多くは、正確な理解などできるわけがないからと思っての論法なのかもしれないが、時間が経てば正確な理解は広がり、いずれ彼らの評価が落ちるだけである。

民主主義のプロセスの中では、国会において多数派を占める案が成立することになるのだとは思う。

今目の前で展開されているのは、2000年の介護保険制度に次ぐ新たな再分配制度の創設という歴史上の出来事である。その出来事を、数十年先の未来から眺めた時、野党と連合が、かつての年金破綻論、抜本改革論の時と同じように、ただ騒動の歴史を残しただけの残念な存在として記憶されることになるのだろう。

今回の支援金騒動の主役である政党、そして彼らを代弁するさまざまな応援団が、かつての年金騒動時とほぼ同じ懐かしい顔ぶれである様子を眺めると、歴史が繰り返されているように見えるものである。議論の経緯をみんなで眺め、誰が何を言っているのかをしっかりと記憶しておくことは、日本の民主主義を進化させるためにも、意味のあることのようにも思える。

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