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コスパ重視、職場で「ファスト・スキル」求める若者 働く若者が抱える「挑戦と保身」のジレンマ

東洋経済オンライン / 2024年3月13日 15時0分

若者が抱える「挑戦と保身」というジレンマの実態を明らかにする(写真:mits/PIXTA)

会社は自分に何をしてくれるか――。今、職場でこう考える若者は多い。その背景には、知識やスキル、能力の取得に対する「ファスト化」があると指摘するのは、令和の若者を研究する金沢大学教授の金間大介氏だ。本稿は、金間氏の著書『静かに退職する若者たち』を一部抜粋・再構成のうえ、若者が抱える「挑戦と保身」というジレンマの実態を明らかにする。

今の若者が会社を辞める4つの理由

いま現在、体調不良やパワハラ被害、ブラック企業からの脱出などの理由を除き、若者が退職を考える今風の理由は、大きく分けて4つある。

1つ目は、当然のことだが、仕事は楽しいことばかりではない。多くの若者は、「普通の職場環境」「普通の待遇」「普通の上司」を想定し、職に就く。そして、自分がそれまで「普通」と想定していたことが、実は極めて恵まれた「天国」だったことを知る。

現実は「理不尽な職場環境」「不公平な待遇」「意味不明な上司」の3貫セットだ。これらが1つか2つある程度が「普通」であり、毎日ギリギリのところでがんばる。事前の想定が甘い人ほど、このギャップを強く実感することになる。

2つ目は、「ゆるブラック」企業からの退職だ。日本企業の多くは、残業を含めた労働時間を着実に減らすとともに、ハラスメントへの対策を強化することで、職場を働きやすくクリーンな場に変えてきた。

もうどの職場でもタバコをぷかぷか吸うことはないし、若手女性社員を「カワイ子ちゃん」と呼ぶこともない。新人がピッチャー片手に上司にビールを注いで回ることもないし、「24時間戦えますか」というセリフは、一周回ってむしろカッコよく聞こえるくらいだ。

が、そんな全国クリーン化計画が、逆に一部の若者にとっては「成長」の機会が奪われていると感じられるわけだ。

若い世代における「働きやすさ」と「働きがい」は反比例している、という分析結果も散見されるようになった。貴重な人材に配慮し、「働きやすさ」を追求することで、結果的に働きがいが低下しているとなれば、これは皮肉なことだ。

希望通りにならないと「ガチャに外れた」

3つ目と4つ目は、やや趣向が異なる。

3つ目は、配属が希望通りにならなかったときの退職だ。そんなことなら昔からあっただろう、と思われる人も多いと思うが、昔と異なるのは若者のリアクションだ。

昨今の特徴として、その若手に対し、なぜ希望通りの配属にならなかったかをしっかり説明しなければならない。理不尽でないことを、時間をかけて理解してもらう必要がある。

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