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ヒット連発「スターツ出版」読者に寄り添う凄み ケータイ小説から20年、今もファンを作れるワケ

東洋経済オンライン / 2024年3月18日 7時20分

中高生を中心にTikTokで人気を博している「スターツ出版文庫」。「読者」に寄り添う出版戦略について、代表取締役社長である菊地修一氏に話を聞いた(撮影:梅谷秀司)

『恋空』や『Deep Love』などでケータイ小説ブームを生み出した「スターツ出版」。現在は、運営する3つの小説投稿サイトを通じて作家を開拓し、読者に寄り添った小説作りでヒット作や話題作を連発。「エモくて泣ける」として、中高校生を中心に大きな支持を集めており、スターツを中心とした書籍群は「ブルーライト文芸」と形容され始めている。

【写真】TikoTokでバズった『あの花』…その魅力は?

「勃興するブルーライト文芸」と題し、新たなムーブメントの誕生を追う本連載。

スターツ出版の歴史に迫りながら、その歴史の中で醸成されてきた企業風土が業績アップの追い風になっていることを聞いた前回(「恋空」のスターツ出版がスゴいことになっていた)に続き、今回も同社の代表取締役社長である菊地修一氏へインタビュー。

中高生向けのレーベルでのマーケティング戦略から、スターツ出版の「読者」に寄り添う出版戦略をひもといていく。

TikTokで大バズりした『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』

――スターツ出版の「スターツ出版文庫」は、とくに中高生を中心に、TikTokで人気を博していますね。TikTokで盛り上げようという意識は最初からあったのでしょうか?

菊地:まったくありませんでした。TikTokのすごさに気づいた最初の作品は、『あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。』です。2016年の発売で、当初の売れ行きは約2万部程度。ところが、コロナ禍の真っ最中である2020年の6月に、突然この作品を注文する電話が殺到したんです。

電話が鳴り出してから2日目に、入社2年目の社員が「これ、TikTokでバズってるみたいですよ」と気付いた。正直、なんで本の表紙に音楽が付いてるだけの投稿がこんなにバズるんだ、と思いました(笑)。

とにかく、それがバズりまくり、口コミもいっぱい入ってくる。「生まれて初めて読んだ本で、体の水分が全部なくなるぐらい泣いた」とか、「私が泣いたからパパとママに見せたら2人も号泣」とか。読者が口コミで広げてくれたんですよね。

――TikTok戦略で意識されていることはあるんですか?

菊地:実は、当社では、お金をかけたプロモーション活動は積極的に行っていません。それより読者の自然発生的な口コミを重視している。これは、20年前の『Deep Love』や『恋空』のときと同じで、あのときはメールでしたが、それがTikTokに変わったという話です。

中高生たちのはじめての読書体験に

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