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爆速成長を続ける台湾発AI企業「エイピア」の正体 日本で2021年上場、台湾人CEOはハーバード博士

東洋経済オンライン / 2024年3月18日 7時30分

エイピアの共同創業者であるチハン・ユーCEO。AI研究を始めたきっかけは、国立台湾大の学生時代にさかのぼる(記者撮影)

AIで本当に儲かるのか、社会が変わるのか――。

【図表で見る】Appier Groupの業績推移。上場後も倍々ゲームで業績を伸ばしている

AIビジネスの将来像を占う「バロメーター」として、市場関係者から密かに注目される企業がある。アメリカ・ハーバード大の博士号を持つ台湾人のAI研究者らが2012年に創業した、「Appier Group(エイピアグループ)」だ。

AIを使った販促ツールを手がけ、アメリカのフォーチュン誌から「AI革命をリードする50社」にも選ばれている同社は、2021年3月に東証マザーズ(現グロース)に上場。その後も倍々ゲームで業績を伸ばし続け、2022年12月には東証プライムへと鞍替えした。

OpenAIが2022年秋にChatGPTを公開して一気に火がついたAIブーム。AI向け半導体を手がけるエヌビディア株の急騰も話題を集める一方、AIが実際のビジネスにどう結びつくか見通しにくい面もある。そんな中、小規模ながらもAIサービスに特化した事業で手堅く成長する企業として注目されているわけだ。

研究開発の主要拠点は台湾

「AIに対する興味や関心の高まりが、顧客と取引を始めるうえで役立っている。AIが適用できる領域が広がると、AIによってあらゆる事業が変化していく。AI革命が起きている中で、トップリーダー、パイオニアとして業界を引っ張っていきたい」。共同創業者のチハン・ユーCEO(44)は、そんな野心を隠さない。

エイピアがミッションに掲げるのは、AIを活用して顧客企業のROI(投下資本利益率)を高めること。企業サイトなどを閲覧する消費者の特性をAIで分析し、顧客になる可能性を予測したり、購入をためらう消費者に取引を促したりする販促ツールを複数展開する。

現在、アジアや欧米など15の国と地域に拠点を設け、顧客企業は1600社超に上る。経営や研究開発の拠点は台湾に置く一方で、上場先でもある日本のオフィスでは主に、財務や営業の機能を担う。

前2023年12月期決算は、売上収益が前期比36%増の264億円、営業利益が同16倍の8億円に拡大した。

主力製品「Cross X」は、優良顧客になりそうな消費者を見極めたうえで最適なネット広告を出すもので、Chat GPTを組み込んだサービスもある。

例えばスキー用のゴーグルを欲しい人がいたとして、属性情報や検索内容からAIが消費者の意図を予測し、「プロ仕様のゴーグル」というタイトルを生成した広告を表示する、といった具合だ。このサービスを使えば、7~10%、消費者が広告をクリックする比率が高まるという。

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