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気鋭アパレル「初任給40万円・残業80時間」の真意 アパレル企業の平均年収ランキングも一挙公開

東洋経済オンライン / 2024年3月27日 7時0分

そもそも、うちは時間でお金を稼ぐという概念がない。すべては成果、つまりお客様の評価で決まる。一部の若いスタッフや、デザイナー・制作などのクリエイティブ職は長時間労働になりがちだが、「時間を使ったからえらいね」といった評価軸はない。

月の平均残業時間は、販売スタッフが10~20時間、本社スタッフも多い人で40時間だ。僕も社内で残業時間が長い人をたまに見かけるが、そういう人ほど成果が出ていない。

働く時間は短くなっている

――「80時間」という数字はどう決めたのですか。

実は、80時間にあまり深い意味はない。他社で、同じく固定残業80時間でやっているところがあった。月80時間の残業を前提としたような給与だったら違法だが、(待遇条件に固定残業80時間を明記すること自体は)違法ではないと認識している。社員を見ると、最近とくに働く時間が短くなったと思っているくらい。それで成果がしっかり上がれば、それはいいことだ。

――今や人手不足は、どの業界でも顕在化しています。アパレル業界に優秀な人材が集まりにくくなっているのでしょうか。

いい人材は確実にいる。以前、初任給を25万円から30万円に上げたときに「アパレルは好きだけど、従来の給与だったら商社やメーカーを選んだだろう」といった人たちが当社に来てくれて、それが今の会社の軸になっている。

――今回の賃上げによる人件費の増加額は約3億円と見ることができます。経営へ大きなインパクトがあると思われますが、吸収できますか。

3億円近くはいくが、人件費の総額が増えるのは当然織り込み済みだ。うちは1人当たり売上高が、おそらく他社と比べて圧倒的に高い。スーパースターセールスという制度があり、年間1億円を売った人は年収1000万円くらいになる。顧客様売上高という指標もあり、それぞれの販売員当てに来ていただけるお客様がどれぐらいいるかを判断軸にしている。

だから保険や自動車、不動産の営業マンが「やっぱり洋服が好きです」と転職してくると普通に働いてくれるが、大手チェーンストア型のオペレーションでザ・販売員として働いてきた人は、慣れるまで大変に感じることもあるようだ。

応募は新卒が3倍、中途が7倍増えた

――今回の初任給引き上げ発表後の反響は。

賃上げの発表前に比べ、新卒の応募は3倍くらい、中途も7倍ほどに増えた(3月25日時点)。ただ、賃上げを機に応募している人はそれだけが理由の場合もあるため、志望動機をしっかり見極めないといけない。

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