「出世嫌がる若者」理解せぬ中高年社員の意外な盲点 「ワークライフバランス」を重視する納得の理由
東洋経済オンライン / 2024年3月27日 11時50分
これについて、企業側にできる対策があるとすれば、就活生向けの広報活動を行う際に、アンケート調査などを参考に、「就活生が本当に知りたい情報を、得やすいようにする」などでしょうか。結果には原因もあると考えて対処することで、多少はギャップを回避できるかもしれません。
引き留めるかどうかは「理由次第」
上司が入社数年で辞めたい若者を引き留めるべきかですが、辞めたい理由や状況によると思います。本人に克服する気がない、あるいは上司や周りのせいにして、社内で会社への不満や辞めたい意思をちらつかせている場合は、引き留めないほうがいいと思います。
理由は、会社に不満や不信があって辞めたがる人がいると、周囲にも悪い影響が出るからです。また、辞める意思の強い人を無理に引き留めると、パワハラと取られてしまうこともあります。SNSなどで個人発信が旺盛な時代です。「辞めさせてくれない」などと拡散されれば、企業イメージがダウンする可能性もあります。
逆に、本人がギャップを克服するために努力したい気持ちがあったり、上司や周りに相談する姿勢があったりするなら、しっかりと必要なフォローをしつつ、引き留めたほうがいいと思います。
「こんなはずじゃなかった」は、情報不足や自信の足りなさが原因であることが多いです。不安要素さえ取り除くことができれば、「こんなはずじゃ」をネガティブなものから、ポジティブなものに変えることもできます。
引き留めるなら、先に挙げたような若者の就職活動時の事情も考えたうえで、配慮してみてはどうでしょう? 今だけの問題ではないと理解するだけでも、説得する際に選ぶ言葉は変わってくると思います。ただ、その場合には、引き留めたい社員を特別扱いすると他の社員の反感を買うので、注意が必要です。
辞める若者は「本当の退職理由」を言わないことも
ちなみに、退職に関するアンケートでこんな話があります。退職理由のTOPは「人間関係」や「労働環境」ですが、退職時に上司に伝える際は、「家庭の事情」や「新しいことに挑戦したいため」と伝えるそうです。
そして、上司の引き留めの言葉や、状況改善の提案に心動かされて、退職をとどまった人のほとんどが、最終的には退職や転職をする傾向にあるとか……。「こんなはずじゃなかった」と言いつつ、実際は別の問題が理由の可能性もあるわけです。
退職希望者の大半は退職の意思を伝える時点で、次の職場や進路が決まっていることがほとんどです。「こんなはずじゃなかった」ということが何度も起きないよう、社内環境を見直すなど、就活生向けの広報の段階から対策を考えたほうがよいのかもしれません。
Jam:漫画家・イラストレーター・ゲームグラフィックデザイナー
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