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衝撃の最後になる?「不適切にも」脚本の巧みさ 何も起きなかった9話、市郎と純子の運命は?

東洋経済オンライン / 2024年3月28日 13時0分

第8話は、一度の不倫から禊ぎを経ても、復帰が許されない男性アナウンサーの悲哀を描く、テレビ業界の不寛容さがテーマになった。SNSの投稿やコタツ記事を“世間”として捉え、スポンサーに忖度するテレビ社会の裏側を自虐的に描くとともに、不倫の当事者ではない他人たちが、正義を振りかざして怒る滑稽さも映し出した。

昭和世代以外にも幅広く共感させた仕組み

前半では一般社会における働き方や企業のコンプライアンスを取り上げてきたのに対して、後半は主にテレビ局を舞台にその内側と外側の両方のおかしな部分を、昭和から来た市郎や純子だけでなく、令和人の登場人物(主に回ごとのゲスト出演者)らが鋭く指摘していた。

昭和世代の視聴者からの共感が多かった前半と比べて、後半からは令和世代も含めた幅広い視聴者層が共感を得られる仕組みになっていたと思う。

なかには、市郎が令和に対するメッセージを乗せて歌うミュージカルに、周囲の人物が誰も乗ってこなくて失速した回もあった。そこからは、昭和の常識がすべて令和に共感されるわけではないことも示されている。

令和と昭和の対比の一方、市郎や周囲の人たちが、純子には未来がないことを本人に悟られないように振る舞う様子が、コミカルな要素も織り交ぜながら描かれた。不幸な未来を変えようとしない異色のタイムリープ・ドラマとなり、自身と娘の生の期限を受け入れて生きる、切ない人間ドラマの一面もはらんでいる。

第9話では、いよいよ最終話の結末へ向けたストーリー展開になるかと思われたが、なんとこれまで通りの流れで終わった。

職場の妊活者から、まったく意図していなかった発言に対してマタハラで告発され、休職を強いられる渚を通して、この問題のデリケートさと、一緒に仕事に向き合う人にとっての難しさを、妊活者当人と周囲の人たち双方の視点から客観的に示した。

前半の1〜4話と同じく、テレビ局だけではなく、一般社会との共通性を持つ社会問題を扱うことで、視聴者の共感性を高くしようとしていることがうかがえる。

その一方で、マッチングアプリを題材に、恋愛への積極性に欠ける草食系の令和男性と、一歩間違えればストーカー行為という通信ツールのない時代の昭和男性の恋愛行動をコミカルに対比させた。昭和のムッチ先輩と令和の秋津真彦(磯村勇斗が1人2役)がともに失恋する姿から、それによる傷心の深さは時代や社会背景を超えて普遍性があることも示した。

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