1. トップ
  2. 新着ニュース
  3. 経済
  4. ビジネス

王者・アパホテルの「北米進出」戦略が超スゴかった 逆輸入と世界戦略を視野に、欧米でブランド確立へ

東洋経済オンライン / 2024年3月31日 12時0分

北米で展開する「コーストホテル」ブランドのキングルームの一例(写真:アパホテル提供)

男性はもちろん、昨今は女性や外国人観光客など、多くの人が利用しているビジネスホテル。各ホテルはそれぞれに、代名詞とも言えるサービスや設備を持っている。けれど昨今のホテル選びでは価格ばかりが注目され、提供側がこだわっているポイントにはスポットライトが当たっていないこともしばしばだ。

この連載、「ビジネスホテル、言われてみればよく知らない話」では、各ビジネスホテルの代名詞的なサービス・設備を紹介し、さらにその奥にある経営哲学や歴史、ホスピタリティまでをひもといていく。第7回は、全国1位の客室数を誇るアパホテル最終回。北米進出の狙いと戦略に加え、巨大グループの今後の展望を解説する。

アパとは180度真逆のラグジュアリーブランド

アパグループ(以下、アパ)が北米、カナダに進出しているのをご存じだろうか。その名はコーストホテル(以下、コースト)。2016年9月に経営権を取得した後、複数のチェーンの買収を続け、現在は43ホテルを展開している。

【写真で見る】外国人も「日本ってスゴい!」日本式のコーストホテルのバスルーム

国内のアパは、ユニットバスを除いて9㎡〜とコンパクトな客室ながら、高品質、高機能なサービスとアイテムを追求したビジネスホテルだ。だがコーストはそんなアパとは180度異なり、ラグジュアリーホテル、フルサービスホテルという位置づけ。

バンクーバーの『コースト コールハーバー バンクーバー ホテル バイ アパ』は、“4つ星”と評されることもあるという。また物価の差も関係しているが、コーストの客室平均単価は、アパの倍以上だ。

コーストがアパとまったく異なっている理由は、アメリカ、カナダのさまざまな法律と規格が、日本とは異なることが大きい。そのため、ノウハウをすべて踏襲することができないのだ。

客室の広さも、かなりまちまち。取得以前のホテルの仕様が残っている部分もあるが、旅館業法に当たる法律が州によって異なるためだ。インテリアや備品もまたしかり。

だが、「日本の良いサービスは導入したい」と少しずつ改修を進めているそうで、なかでもバスルームについては、全ホテルで日本式を導入。好評を得ているそうだ。

特に全直営ホテルに導入している温水洗浄便座は、カナダのホテルにはほぼ普及しておらず、「アメージング!」と喜ばれ、差別化につながっているのだとか。

シャワーも、北米とカナダは固定タイプが標準なところを、日本式ホースシャワーを採用。「使い勝手が良く、これまでバケツで行っていた清掃のスピードアップにもつながった」と、従業員にも歓迎されている。

この記事に関連するニュース

トピックスRSS

ランキング

複数ページをまたぐ記事です

記事の最終ページでミッション達成してください