NHK「1000億円削減」とコンテンツ拡充の大矛盾 「6つのニュースサイト、突然閉鎖」の背景とは
東洋経済オンライン / 2024年4月5日 12時10分
NHKのテキストニュース縮小についてこれまで書いてきたが(NHKが「テキストニュース」を次々に閉鎖する懸念、新聞業界が難癖「NHKテキストニュース」の行方)、3月29日についに「政治マガジン」「国際ニュースナビ」など6つのサイトがなくなった。
「更新を終了し、『NHK NEWS WEB』に統合しました」と各サイトに表示されている。BSチャンネルの統合や春の番組改編は丁寧に告知するのに、ニュースサイト停止は悪いことでもしたかのようにこっそり行われ、正式なアナウンスもなしだ。日本新聞協会の圧力を受け入れた結果なので、バツが悪いのかもしれない。
3年間で1000億円支出削減の見通し
テキストニュース縮小の背景となる放送法改正案はこれからの審議だが、先に3月半ばから末にかけて、NHKの今年度予算を審議する衆参両院の総務委員会が開催された。NHKはこれを深夜に放送する習わしで、私は眠気と戦いながら視聴した。その中でも一部の議員がテキストニュース縮小の問題をとりあげていた。
総務委員会で質問に立つ議員はさすがによく勉強していて、さまざまな角度から予算案に鋭くチェックを入れ、稲葉会長らNHK側がたじたじとなる場面もあった。
何人かの議員が指摘していたのが、支出額の大幅縮小だ。予算と共にまな板に上がった2024年度から3年間の経営計画に中期的な支出の推移見通しが書かれている。
なんと、2023年度の支出金額6720億円を2027年度には5770億円へ1000億円近く減らすというのだ。これは誰でも大丈夫かと指摘したくなる規模だ。
受信料収入がみるみる減少するため、支出を大幅に抑えないわけにはいかないのだ。
NHK側の説明では、2024年度から2026年度は補填が必要になるものの、2027年度には収支均衡させるとのことだ。
「コンテンツ戦略6つの柱」は“無理ゲー”?
だが一方で、今度の経営計画では、コンテンツ戦略6つの柱として、いままでよりさらにさまざまな部分で放送を充実させていくという。
1000億円も支出を減らすのに6つも充実させる柱があるというのは、“無理ゲー”にもほどがある。
支出14%削減は可能なのか
6720億円から5770億円に減らすと、14%の減少になる。放送業界で14%減と聞いて思い出すのはリーマンショックの時の民放だ。電通発表の「日本の広告費」によると、2007年に1兆9981億円あった地上波テレビの広告費は2年後の2009年には1兆7139億円に急減し、減少幅は約14%だった。
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