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「世界最短」国際列車消滅?シンガポール国境の今 マレーシアと結ぶ新路線建設、高速鉄道構想も

東洋経済オンライン / 2024年4月5日 6時30分

シンガポール領内にも乗り入れるマレー半島の豪華列車「イースタン&オリエンタル・エクスプレス(E&O)」(筆者撮影)

東南アジアきっての”先進国”として発展著しいシンガポール。公共交通機関をはじめとする社会インフラ整備は世界最高レベルに達しているものの、物価の上昇も著しい。

【写真でわかる】マレーシアのジョホール・バルとシンガポールを結ぶ”世界最短”の国際列車「シャトル・テブラウ」とは?

シンガポールの経済が支えられているのは、後背地にマレーシアの存在があるからだろう。毎日多くの通勤客が行き来する両国間は2本の道路と鉄道で結ばれているほか、新たにライトレールが建設中。さらに、一時計画があったものの棚上げとなったシンガポール―クアラルンプール間の高速鉄道計画も復活の動きがある。一方で、現在両国を結んでいる「世界最短の国際列車」は近い将来姿を消しそうだ。

新たな時代を迎えつつある、シンガポールとマレーシアを結ぶ交通事情の現状と未来について紹介したい。

両国を結ぶ道路は大渋滞

シンガポールとマレーシア側ジョホール州(State of Johor)の間には海峡があり、2本の道路でつながっている。1本は1923年に開通したコーズウェイ(Causeway)で、ジョホール・バル(Johor Bahru)の市街地とシンガポール側とを結んでいる。その名のように長い堤(コーズウェイ)となっており、道路と単線の鉄道が並行して通っている。

もう1本は1998年に開通したセカンドリンク(Second Link)と呼ばれる橋で、全長は2km。市街地からは離れているものの両国の高速道路と直結しており、マレーシアの首都・クアラルンプールに直行する場合などはこちらを利用することが多い。

どちらの道路も両国間を行き来する日常の通勤に不可欠なインフラとなっているが、その重要性ゆえに、とくに休日や通勤時間帯には激しい渋滞に悩まされている。両国を行き来するには、必ずパスポートを持っての出入国検査が必要となる。この行列は絶望的に長くなることもあり、筆者も5時間以上並んでようやく通り抜けた経験もある。

その点、鉄道は所要時間が読めるとあって高い人気を誇る。マレーシア国鉄(KTM)によるシャトル・テブラウ(Tebrau)と呼ばれる国際列車は早朝から深夜まで1時間ごとに運行。2021年11月25日付記事「乗車5分、『世界最短の国際列車』はなぜ存在するか」で紹介したように、所要時間はわずか5分だ。

「国境越え通勤電車」開業に期待感

絶望的ともいえる国境の渋滞対策として、現在進行しているのが両国間をライトレールでつなぐ建設プロジェクトだ。これは高速輸送システム(RTS)リンクと呼ばれ、ジョホール・バルの市街地とシンガポール側国境に接する町・ウッドランズ(Woodlands)を結ぶ。全長は4kmで2026年の運行開始を目指している。

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