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あの「ミキモト」イメージがガラリと変わったなぜ 業界も驚いた斬新なコラボが契機になった

東洋経済オンライン / 2024年4月5日 11時20分

かつては質に対する信頼感は高いが、「コンサバ」「ハードルが高い」というイメージがあったミキモトだが、近年は男性や若者層などこれまでミキモトを手にしてこなかった客層の開拓が進んでいる(撮影:尾形 文繁)

企業を取り巻く環境が激変する中、経営の大きなよりどころとなるのが、その企業の個性や独自性といった、いわゆる「らしさ」です。ただ、その企業の「らしさ」は感覚的に養われていることが多く、実は社員でも言葉にして説明するのが難しいケースがあります。

【写真で見る】昨年11月に発売した「ラッキー アローズ」は幸運のシンボルである“矢”をモチーフにしている

いったい「らしさ」とは何なのか、それをどうやって担保しているのか。ブランドビジネスに精通するジャーナリストの川島蓉子さんが迫る連載の第17回は、ミキモトを取り上げます。

数年でイメージがガラリと変わった

ミキモトと言えば真珠――日本に限らず世界から、パールのジュエリーの最高峰ブランドとして仰ぎ見られている存在だ。銀座の中央通りに面した本店は、大きなウィンドーに、モダンで品格を備えたジュエリーが飾られ、街行く人の憧れを誘っている。

数年前まで私がミキモトに抱いていたイメージは、「永遠の変わらないブランド」であり、開拓や挑戦といったイメージは薄かった。加えて「高級で買えるものがなさそう」「コンサバでハードルが高い」という思いもあり、足を踏み入れるのにためらいがあった。

それが、ここ数年でずいぶんとイメージが変わってきた。時代性を盛り込んだモダンなジュエリーが、魅力的なプロモーションとともに打ち出されているのだ。業績も好調で、2024年8月期は過去最高の売り上げをはじき出している。

この変化の裏側には、どういった動きがあるのか。社長を務める中西伸一さんの話を聞きにいった。場所は銀座本店の上階にある個室。上得意のために設えてある場だという。少し緊張して席についたのだが、中西さんのやわらかい笑顔と、軽やかな話ぶりに救われた。

「きっかけになったのは、2019年に『コム デ ギャルソン』の川久保玲さんから声をかけていただいたことでした」と中西さん。コレクションショーにネックレスを使わせてほしいという依頼があった。

そしてランウェイで、男性がパールネックレスを着用するスタイルを披露し、大きな話題を呼んだのである。そこから話がさらに進み、コラボレーションしたジュエリーを創ることになったという。

最初に発表したのは、真珠にシルバーチェーンを合わせたネックレスで、業界内外からその斬新さが注目を集めた。「お客様をはじめ、取引先から『ミキモトさんがこういうことをやってくれるのを待っていた』と言われました」(中西さん)。

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