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目標を達成させる報酬の与え方とは? - NTTが最適な介入を導く数理モデルを開発

マイナビニュース / 2024年4月19日 18時29分

画像提供:マイナビニュース

NTTは4月19日、目先のことを過大評価してしまう人間の長期的な目標達成行動を分析し、さらにそのような人間の目標達成のための最適な介入を求めることができる数理モデルを開発したことを発表した。

これに際し同社は、オンラインで記者説明会を開催。開発を主導したNTT 人間情報研究所 共生知能研究プロジェクトの赤木康紀研究主任らが、開発した数理モデルやその活用の展望について説明した。

なお今回の成果は、2024年2月20日から27日までカナダ・バンクーバーで開催されたAI分野の国際会議「The 38th AAAI Conference on Artificial Intelligence(AAAI 2024)」において発表された。
○長期的な目標達成の成功率を左右する「現在バイアス」とは?

夏休みの宿題やダイエットなど、長期的な目標達成に向けて意気込んだ経験が誰しもあるだろう。そしてその中には、努力の途中で目先の小さな誘惑に気を取られ、“まあいいか”と休憩を挟んだままゴールにたどり着かなかった経験を持つ人も、少なくないのではないだろうか。

このように目前に現れた事象の損得を課題に評価してしまう傾向は、行動経済学などの分野では「現在バイアス」と呼ばれ、多くの研究の対象となっているという。この傾向は、先述した例のように長期的な目標の達成を阻害しうるため、現在バイアスが人間の行動に及ぼす影響をモデリングし、さらに目標達成に向けた行動変容を促す最適な介入方法を探ることが求められている。

現在バイアスのモデリングについてはこれまでにも研究されてきたものの、特定の状況やドメインに依存した汎用性の低いモデルや、汎用性は高いもののモデルの解析や最適な介入策の導出が難しいモデルなどがほとんどだったとのこと。そこでNTTでは、現在バイアスを受けた人のための新たな数理モデルの開発に着手し、「進捗積み上げ型タスク」に着目することでそのモデリングを進めたとする。

進捗積み上げ型タスクとは、制限時間の間に進捗を積み上げることで目標の達成を目指し、成功すると報酬が得られるもの。日常生活においては、「健康維持のために1週間で10時間運動する」などのタスクがこれにあたる。同タスクに取り組む際、現在バイアスの影響を受けた人間は、目標達成までの進捗経過として想定される複数のルートの中から、最も“コスト”の小さい系列に沿って進捗を積むことになる。このコストは負担や大変さを指しており、言い換えれば「一番楽な経路」を選ぶとも表現できる。

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