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近鉄「ビスタカーの足」継いだ一般車2000系の来歴 一部に特急の台車、観光列車に転身の仲間も

東洋経済オンライン / 2024年4月11日 6時30分

近畿日本鉄道の一般車両「2000系」の第1編成。第1・第2編成には60年前以上に製造された特急車両「2代目ビスタカー」の台車が残っている(記者撮影)

近畿日本鉄道は特急車両の顔ぶれが豊富な鉄道会社だ。名古屋と大阪を結ぶフラッグシップ特急「ひのとり」には「アーバンライナー」、伊勢志摩方面への豪華特急「しまかぜ」には「伊勢志摩ライナー」というように先輩格となる車両が存在する。

【写真60枚】まもなく見納め、近鉄特急の名車両「2代目ビスタカーの台車」を用いた一般車2000系の第1編成。間近で見ないとわからない「近畿車輌空気バネ台車」の誇らしげな銘板も

一方、地味に見えてユニークな経歴を持った一般車両も多くある。その1つが名古屋線系統で通勤通学を中心に活躍する「2000系」だ。デビューは1978年。2階建て特急車両「ビスタカー」の先代「10100系」の台車を履いた編成があれば、観光列車に転身した編成もある。

往年の名車「2代目ビスタカー」

かつて国鉄と名阪間で競争を繰り広げていた近鉄は、大阪線が標準軌(1435mm)、名古屋線が狭軌(1067mm)とレール幅が異なっており、途中駅での乗り換えがネックとなっていた。ビスタカー10100系は1959年、伊勢湾台風の甚大な被害を機に予定より前倒しして標準軌に統一された名阪間の直通特急用として新造された。

先頭車の形状は、丸みを帯びた非貫通の流線形、ほかの車両と連結できる貫通形の2種類があった。1958年に1編成だけ製造された「10000系」の量産車の位置づけだ。

10000系は高速電車として世界初、特急用では日本初の2階建て車両を編成に組み込んだ記念碑的な存在だった。随所に当時の最新仕様を取り入れ、足回りには「空気ばね台車」を採用した。

10100系は「新ビスタカー」「2代目ビスタカー」「ビスタII世」などと呼ばれ、1963年までに18編成54両が製造された。後継の3代目ビスタカー「30000系」は1978年の登場で、2000系の“同期”にあたる。

一般車両の2000系は名古屋線系統向けに3両編成12本が製造された。名古屋方から制御車・中間電動車・先頭電動車の構成。1978年の製造当初、第1・第2編成は主電動機と台車を10100系から流用した。

1979年に製造の第3編成以降については、名古屋方先頭車の制御車のみ10100系の台車を使用したが、2003年以降の台車振替工事で置き換えられた。そのため、2代目ビスタカー譲りの台車を見ることができるのは第1・第2編成だけとなった。

日頃のメンテナンスを通じて2000系を見てきた富吉検車区の吉村貴和さんは「第1・第2編成は、ほかの車両と比べると加速・減速時の振動がはっきりとしている」と独特の乗り心地を指摘する。

観光列車に転身した編成も

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