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近鉄一の「ザ・ターミナル」大阪阿部野橋駅の実力 乗降人員最多は「あべのハルカス」のおひざ元

東洋経済オンライン / 2024年4月4日 6時30分

大阪阿部野橋駅のホーム。日中も普通列車や準急がそれぞれ10分間隔で発車する(記者撮影)

近畿日本鉄道は営業キロ501.1kmと私鉄で日本一の長さの路線網を誇る。駅数は286駅で、こちらも日本の私鉄で一番多い。そのなかでもっとも利用客が多いのが大阪市阿倍野区に位置する南大阪線の大阪阿部野橋駅だ。

【写真を見る】関東で言えば「東武東上線の池袋駅」みたい?近鉄で乗降人員最多の駅は地元密着路線、狭軌の南大阪線のターミナル。「お花見は大鐵沿線」昭和初期の貴重な姿も。

JR・大阪メトロの天王寺駅との乗り換え需要を背景に、1日乗降人員(2022年11月8日調査)は14万475人を数える。伊勢志摩方面の豪華特急「しまかぜ」や名古屋と大阪を結ぶフラッグシップ特急「ひのとり」が発着する大阪線の鶴橋(13万5330人)、難波線の大阪難波(10万8368人)を上回る。

通勤通学に加え観光利用も

南大阪線は大阪阿部野橋と奈良県橿原市の橿原神宮前を結ぶ39.7kmの路線。レールの幅が1067mmの狭軌で、大阪線や名古屋線の標準軌(1435mm)とは異なる。途中、道明寺から道明寺線、古市から長野線、尺土から御所線が延びていて、通勤通学など生活路線の性格が強い。橿原神宮前には標準軌の橿原線も乗り入れる。

大阪阿部野橋は橿原神宮前で吉野線に直通する有料特急や急行も走る。代表的な車両は特急「さくらライナー」や観光特急「青の交響曲(シンフォニー)」だ。吉野線は、古代の史跡が点在する明日香村の飛鳥駅などを経て、桜の名所として知られる吉野に至る。

沿線には西国三十三所の札所でもある葛井寺、岡寺、南法華寺(壺阪寺)のほか、吉野神宮、金峯山寺などの寺社を多数抱える。吉野山の桜のシーズンには臨時の特急や快速急行が運行されており、大阪阿部野橋は吉野方面への観光の玄関口としての役割も大きい。

大阪阿部野橋の駅名は、現在のJR線が通る堀切にかかる阿倍野橋に由来する。所在地は大阪市阿倍野区阿倍野筋で、「あべの」の漢字の表記は駅名と地名で異なっている。1923年に南大阪線の前身、大阪鉄道が開業した当初は「大阪天王寺」だったが、間もなく現在の駅名に改称した。

近年、「あべの」の知名度を全国的に上げたのが超高層ビル「あべのハルカス」だ。「あべのハルカス近鉄本店」「大阪マリオット都ホテル」といった近鉄グループ運営の百貨店・ホテルが入る複合施設で高さは300m。東京に「麻布台ヒルズ森JPタワー」(330m)が誕生して日本一の座は譲ったが、大阪のランドマークとしての地位はゆるぎない。あべのハルカスは2024年3月に開業10周年を迎えた。

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