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「低迷WOWOW」と「最高益スカパー」分かれた明暗 苦境の有料放送で契約件数はともに続落だが…

東洋経済オンライン / 2024年4月18日 8時0分

契約件数減少に苦しむWOWOWとスカパー!だが、業績や株価では大きく明暗が分かれている(撮影:尾形文繁)

「この厳しい環境下での社長就任に高揚感はない」――。

【図表で見る】WOWOWとスカパーの契約件数は大きく減少している

有料衛星放送のWOWOWで4月1日、9年ぶりの新社長が誕生した。1990年に入社した、山本均氏(59)だ。スカパーJSATや銀行出身者が歴代社長を務めてきた同社において、初のプロパー社長となる。

3月の定例記者会見に出席した山本氏は冒頭のように、言葉の端々に緊張感と危機感をにじませた。

それも無理はない。WOWOWは今、先の見えない苦しい戦いを強いられているからだ。

WOWOW・スカパーともに契約数は激減

コロナ禍も後押しし、ネットフリックスやU-NEXTなど動画配信サービスが普及する中、WOWOWやスカパー!などの有料放送の契約件数は減少が続く。

契約者の月額課金を主な収入源とする有料放送は、広告費を収益源とする地上波放送以上に、配信サービス台頭の煽りをもろに食らう。近年は有料放送から配信サービスへと会員が流出する事態が起きている。

WOWOWやスカパー!も、「WOWOWオンデマンド」(月額2530円)などの独自の配信サービスをそれぞれ展開している。ただ、いずれも認知度向上に苦戦しているのが現状だ。有料放送の会員基盤がある中で、配信サービスの料金だけ安くすれば、単価の高い有料放送からの乗り換えリスクもあり、他の配信サービスに対して割高感も生まれてしまっている。

これまでWOWOWやスカパー!の競争優位性を保ってきたのは、大型スポーツコンテンツだった。現在もWOWOWはサッカーUEFAチャンピオンズリーグなどを、スカパー!はプロ野球の公式戦全試合を放送している。

しかし最近はこのスポーツ領域で、配信サービスを交えた競争が激化。動画配信業界の関係者は「コアのスポーツファンはお金を払うことに対する抵抗が小さく、会員を獲得しやすい。そのため今は配信各社がスポーツに力を入れている」と話す。

U-NEXTは昨年3月に韓国のスポーツ配信サービスSPOTV NOWと提携し、直近ではネットフリックスもプロレス団体「WWE」との独占配信契約を締結した。こうした流れを受け、スポーツファンを中心に有料放送から配信への顧客流出が加速しているようだ。

WOWOWは2023年度の期初段階において、契約件数の純減傾向に歯止めをかける計画を発表していた。しかし昨年10月には早々にこの計画を撤回し、通期業績予想も下方修正。4月2日に発表された月次情報によると、2023年度の契約件数は、約246.7万(前期末比3.6%減)となった。

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