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「アンチヒーロー」ヒットを予感させる3つの要因 随所に注目ポイントが散らばっている

東洋経済オンライン / 2024年4月21日 17時0分

TBS『アンチヒーロー』の初回は大健闘。SNSでは高評価が並んだ(写真:ドラマ公式サイトより引用)

『VIVANT』に次ぐヒットになるのでは、と注目されている日曜劇場『アンチヒーロー』(TBS系、日曜よる9時〜)の初回は大健闘。世帯視聴率が『VIVANT』の初回と同じだったと幸先もよかった。世帯視聴率は指標にならないと言われて久しいとはいえ、いいときは相変わらず指標化されているのだ。

『アンチヒーロー』は『VIVANT』と制作陣が同じという触れ込みで、事前情報を明かさないPR方法を踏襲したものの、肝であるチーフ演出および原案の福澤克雄やメインライターの八津弘幸が不在であることには懸念もあった。

が、ふたを開けてみたら、次世代スタッフの作った“逆転パラドックスエンターテインメント”はSNSでは高評価が並び、大河ドラマ『麒麟がくる』(NHK、2020年)から久々にテレビドラマに主演した長谷川博己の演技は極めて好意的に迎えられた。

主人公は「単純な正義の人」ではない

ここでは、何がウケたのか、主として「アンチ」と「リーガルエンタメ」と「長谷川博己」の3点に絞って解説しよう。

長谷川演じる主人公の弁護士・明墨正樹は、タイトルがアンチヒーローだけあって、単純な正義の人ではない。殺人犯を無罪にする弁護士である。なぜ彼がそんなことを行うのか。理由は冒頭、殺人事件の容疑者・緋山啓太(岩田剛典)に向かって朗々と語られる。

「過ちを犯してもやり直せる 日本はそんな優しい国だと思いますか」

明墨は、罪――とりわけ殺人を犯したら最後、どれだけ償っても「殺人犯」というレッテルは拭えず、自分だけでなくまわりにも「殺人犯の関係者」として白い目で見られてしまうと語る。だからまともに社会復帰するためには殺人犯ではないことを証明しなければならないと。

緋山を有罪にする証拠は多く集まっていたが、明墨は違法スレスレのやり方で証拠を潰していく。明墨のキャラ紹介でもある初回としては十分すぎるほど、彼の鮮やかな仕事っぷりが連なっていく。

たとえ悪事でも躊躇なく弁護するキャラクターの先行として、『VIVANT』の堺雅人が演じた、人気ドラマ『リーガルハイ』シリーズ(2012〜2014年 フジテレビ)の古美門研介を思い出したドラマファンも少なくなかったようだ。

「正義は特撮ヒーローものと『少年ジャンプ』の中にしかないものと思え。自らの依頼人の利益のためだけに全力を尽くして闘う。我々弁護士にできるのはそれだけであり、それ以上のことをするべきではない。わかったか、朝ドラ!」という名言をはじめとして、古美門は世のなかを鋭く突いた数々の名言を発し、お金になる訴訟事件の弁護を引き受けて勝ち続けていた。明墨もそうなのかと思えば、たぶん、そうではないだろう。

「アンチヒーロー」とはどういう意味なのか

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