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専業主婦から「アンダークラス転落」への危険経路 貧困に陥りやすい女性の構造的な原因

東洋経済オンライン / 2024年4月24日 16時0分

賃上げが行われてもシングルマザー世帯や年金生活のシングル女性などは、その恩恵にあずかっていない。なぜ女性はアンダークラスに陥りやすいのか(写真:Graphs/PIXTA)

急激な物価高によって収入の低いアンダークラスの生活費は増大し、貧困に喘ぐ家庭が増えている。賃上げなども行われているが、日本の最下層ともいえるシングルマザー世帯や年金生活のシングル女性などは、その恩恵にあずかっていない。なぜ女性はアンダークラスに陥りやすいのか。「階級・格差」研究の第一人者である橋本健二教授が、その構造的な原因を解説する。

※本記事は橋本健二著『女性の階級』(PHP新書)の内容を一部抜粋・再構成したものです。

フリーターへと導く5つの要因

フリーターという言葉が使われるようになったのは、1980年代の終わりごろからである。最初のころは、いくぶん軽く明るいニュアンスを伴って使われることもあったが、バブル経済の崩壊後、若者の就職難が深刻化してフリーターが激増を始めると、フリーターが格差拡大や若者の貧困と関連付けて論じられるようになった。

【図表を見る】初職時点でアンダークラスだった女性の比率

そして21世紀の最初のころから、どんな若者がフリーターになりやすいのかという問題について、多くの研究が行われてきた。そしてこれまで、次のような事実が明らかにされてきた。

⑴男性より女性の方がフリーターになりやすい。

⑵大卒者より非大卒者の方がフリーターになりやすい。

⑶出身階層が低い方がフリーターになりやすい。

⑷卒業してから就職までに時間がかかると、フリーターになりやすい。

⑸就職の際に学校の先生の紹介や学校推薦があると、フリーターになりにくい。

フリーターに決まった定義があるわけではないが、多くの場合は、既婚女性を除く34歳以下の非正規労働者と定義されている。要するに若年アンダークラスのことだから、これらの研究は、どのような若者がアンダークラスになりやすいのかを明らかにしようとしたものと考えてよい。

アンダークラスに陥りやすい女性とは

2022年三大都市圏調査データで初職時点でアンダークラスだった人の比率を男女別にみると、男性が9.0%、女性が13.2%、男女計で11.1%だった。したがって、先の⑴の結論は支持される。それでは、どのような女性がアンダークラスになりやすいのか。詳しくみていこう。

下の図表は、父親の学歴、15歳当時の家のくらしむき、本人の学歴、卒業から最初の就職までにかかった期間、就職の際に先生や学校からの紹介があったか否かを区別して、初職時点でアンダークラスだった女性の比率をみたものである。

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