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「世界の労働者の叫び」メーデーの意味を問い直す 歴史から振り返るメーデーが持つ意味

東洋経済オンライン / 2024年5月3日 8時0分

1920年、日本で初のメーデーが東京・上野公園で開催された。約1万人が参加した(写真・共同)

5月1日はメーデーの日である。メーデー(May Day)、すなわち労働者のための日なのだが、最近のメーデーは4月の最後の土曜日にやるところが多い(労働組合組織の分裂開催の結果である)。

何事も便宜的な日本では、メーデーならぬエイプリルデーになっている。だから、学生から「4月にやるのに、なぜメーデーなのですか」という質問が出るのも当然なのだ。

また「何で労働者の祭典が、SOS(メーデー)なのですか」という質問すらある。後者は、M’aiderという「助けて」を意味するフランス語を英語読みしたMaydayなのだが。

なぜメーデーが成立したのか

ヨーロッパでは5月は新緑の季節。メーデーは多くの国で休日だ。もう40年以上前のメーデーの日に、ウィーンからバスでハンガリーに向かったことがある。当然ながら、ウィーンもブダペストもメーデーであった。しかもその日はどちらとも祝日だったのだ。

フランスではスズラン祭の季節でもあり、白いスズランが町中で売られている。長い冬から明けた5月を待ちわびたかのように、メーデーの日の晴れやかな行進が始まる。終わったあと、あちこちでバーベキューの匂いが立ちこめ、穏やかな一日がすぎてゆく。

ではメーデーとは何であろうか。メーデー、すなわち5月の日という言葉には、実は大きな意味が付与されている。それは、メーデーという日が1886年5月初めのシカゴの労働者ストライキの悲劇から生まれたものだからである。5月という言葉には、深い意味が込められていたのだ。

杉浦正男と西村直樹の『メーデーの歴史 労働者のたたかいの足跡』(学習の友社、2010年)にそってその歴史を辿ってみよう。

1864年に国際労働者協会が誕生した。これは国境を超えて労働者を団結し組織化しようという組織で、その書記長はあのカール・マルクスであった。

マルクスの手になる綱領には、労働者が実現すべき問題として、貧困、労働時間、協同組合、そしてアメリカの奴隷解放などが書かれてあった。

メーデーの始まり

やがてその意を受けて1866年、ジュネーヴで第一インターナショナルの総会が開催されるが、その大会で労働時間の短縮という問題が重要議題となる。当時は10時間労働が一般的で、8時間労働日を要求するという運動方針が決まる。

この動きを最も強く受けたのが、海の向こうのアメリカ合衆国の労働者だった。アメリカ労働総同盟は、1886年5月1日から8時間労働を掲げて大規模なストライキを起すことを決議する。

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