「コロナ続いてほしい」普通高校脱落する子の本心 東海地方で30年働く先生が語った事(第3回)
東洋経済オンライン / 2024年5月16日 10時20分
学力が低く、授業についていくことができない「教育困難」を抱える生徒たちを考える本連載。今回お話を伺った鈴木先生(仮名)は、東海地域で30年以上高校教員として働くベテラン教師です。鈴木先生の高校は、偏差値40以下の私立高校で、昔も今も「教育困難な生徒」=「勉強がなかなかできない生徒」が多く通っています。
そんな先生の目から見ると、昔よりも現在のほうが、さまざまな意味で「深刻な」問題を抱える生徒が多くなっているのだそうです。自身も15年前に「教育困難」校を卒業した濱井正吾氏が、コロナ以前と以後の学校の変化について伺いました。
コロナ禍で大きなダメージを受けた教育業界
今回、お話をお聞きした鈴木先生(仮名)は、東海地域で30年以上、偏差値40以下の「教育困難」校の高校教員を務めています。
鈴木先生は語ります。「コロナでもっともダメージを受けたのは教育業界」だと。教育業界の酸いも甘いも知るベテラン教師に、1事例として、その理由を尋ねてみました。
コロナ禍では、ニュースで大きく報道される外食業界がもっとも深刻な影響を受けたと思っている人も多いでしょう。
しかし、鈴木先生は「コロナで最も深刻なダメージを受けたのは地域の普通の全日制私立高校です」と言います。その理由についてお聞きしたところ、自身の経験に基づいた鈴木先生の洞察をお話ししてくださいました。
「コロナで外食業界がダメージを受けたというのはよく言われることです。しかし、外食業界は一時的に人が少なくなりましたが、今はアフターコロナで戻っていますよね。でも、学校はコロナを経て『学校に行かなくてもいい』という空気感になってしまったんです。
私が働く学校も含めて、生徒の募集が本当にうまくいきませんでした。原因は明らかで、通信制高校に生徒が多く流れたからです。
私たちの学校にはもともと、中学生のときに不登校になってしまった子どもたちを含めて、あまり学校に馴染めなかった生徒が多く来ていました。しかし、そういった層が根こそぎ、通信制高校を選ぶようになったのです」
学校に通う必要を感じなくなる
コロナ以降の空気の変化で、多くの生徒が通うようになった通信制高校は、普通科高校の存在意義をも脅かしているようです。
「もともと不登校になる子どもの数は年々増加していました。私の学校にも不登校気味の子は多かったのです。それでも、今までは慣習として、『とにかく高校には行っておけ!行かないとろくな大人にならない!』と言われていたから生徒も我慢して通っていました。
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