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「コロナ続いてほしい」普通高校脱落する子の本心 東海地方で30年働く先生が語った事(第3回)

東洋経済オンライン / 2024年5月16日 10時20分

鈴木先生は、不登校を許容する時代の流れが、通信制高校の流行を後押ししているとも考えています。

「私が若いときには、学校はカルチャー共有の場でした。学校という共同体に行かないと、流行っている漫画や音楽など、カルチャーの共有ができませんでしたから。学校に行かないということは『社会から完全に取り残される』という恐怖感があったんですよね。

でも、今の子にはそんなものは必要ありませんよね。SNSが発達しているから、カルチャーはネットのほうが吸収しやすいし、仲間も見つけやすい。むしろ、学校に行っても自分の趣味を共有しない子のほうが多いです」

「わかりやすいから『上』と『下』という言葉を便宜上使いますが、部活や勉強を本気で頑張ってるような『上』の層は、『学校がないと困る!』となるでしょうが、一定層よりも『下』の層の生徒たちは、自分の人生における学校の比重が軽いことが多いです。

そう考えると、通信制が人気にもなりますよね。学校を言語で情報を伝える場だと仮定するならば、普通科の高校はもう通信制高校に勝てないと思いますよ」

通信制高校には勝てない

学校の生徒募集にも携わっている鈴木先生の「通信制高校に勝てない」という言葉には、とても重みがありました。では、そうした通信制高校の台頭に対して、鈴木先生は1人の教員として、どう思われているのでしょうか。

「もちろん生徒によっては、通信制高校を選ぶという選択がプラスに働く場合も多いとは思います。その子に勉強する意思さえあれば、わざわざ教育困難校で周囲の雑音に左右されずとも勉強できるというのはとてもいいことだと思います。

でも、長年教員をやっていて生徒を見ている自分としては、まったく別の心配をしてしまうんです。というのも、これは自惚れかもしれませんが、『ウチの高校に来ないで、対面で大人がしっかり向き合うことをしなかったら、あの子は本当にダメになっていただろうな』と感じる生徒は、多いんですよ。不登校であったり、自分の人生に対しての意識が希薄であったりする子は、一時的な感情に流されがちです」

また鈴木先生は、「あくまで普通科の教員の言葉として聞いていただければと思いますが」と前置きをしたうえで、対面の重要性を述べてくださいました。

「勉強面でも生活面でも、誰かが対面で一定の強制力を働かせないと難しい場合があります。たとえば、私が指導している生徒の中には、ちょっと失敗しただけで希死念慮を口にする子も多いです。

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