「コロナ続いてほしい」普通高校脱落する子の本心 東海地方で30年働く先生が語った事(第3回)
東洋経済オンライン / 2024年5月16日 10時20分
それが、コロナが到来してから『感染が怖ければ、学校には無理して行かなくてもいいです!』と言われるようになりました。そうすると、遠隔での授業が当たり前になってしまい、自分の体を動かして教室に行く必要性を、多くの子どもたちが感じなくなってしまったんですよね」
鈴木先生は、特に女子生徒が通信制高校を選んでいる傾向にある、と感じるそうです。
「通信制高校を選んだ女の子たちに話を聞くと、2つのパターンがあります。まず1つは、人間関係を回避したいというパターンです。女の子のほうが、人間関係が複雑になりがちで、そういった関係性に疲れてしまった生徒が通信制を選んでいます。
もう1つは逆のパターンです。ファッションが好きで、髪の毛や格好で学校に縛られなくていいというのを利点だと思っている子どもたちが、通信制高校を選んでいるみたいです」
家にいることを強いられるコロナ蔓延中の環境は、しがらみを嫌う一部の生徒にとっては天国のような時間だったかもしれません。
今ではおとなしい生徒が多い鈴木先生の学校でも、「コロナ期間のほうがよかった」という生徒が少なからずいたようです。
コロナ、終わってほしくなかった
「世間では、コロナがほぼ収束しつつあるということで、『修学旅行に行ける』『友達と会って話せる』ということが強調されているイメージがありますが、もともと気質としていわゆる『陰キャ』な生徒が多かった、私が勤める学校では、コロナ前と全然変わっていません。
コロナのときから不登校気味なのが変わっていない生徒もいますし、コロナがほぼ収束してもずっとマスクをつけて、『感染なんてどうでもいいけれど、表情を見られたくないから』と言っている生徒もいます。『コロナ、終わってほしくなかった』なんてことを言う生徒は1人や2人ではありませんね」
コロナの収束を喜べない生徒も珍しくなかった、鈴木先生の高校。実際にコロナ禍真っ最中の時期や、それが終わったあとには、学校にはどのような空気感が漂っていたのでしょうか。
「感染者がピークの時期には『怖いから学校には行かせたくない』という親が多かったですし、それは許容されていました。それは当たり前のことですが、感染者数がピークをすぎてからも、生徒も、その親もひっくるめてまだそのような空気感が続いていたんです。2023年の5月にコロナが5類感染症に移行するころまでは不登校でもいいという空気感がありましたね」
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