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「気分を害したら申し訳ない」はなぜダメなのか? 謝るときの不快感を乗り越えて正しく謝る方法

東洋経済オンライン / 2024年5月19日 17時0分

そのことでずっと嫌気がさしていた。それしか言えない。自分がバカみたいだった。もう少し周りの出来事に気を配っていたら、あんなことにはならなかったんだ……。いまでも申し訳ないと思っている。ずっと後悔してきた……。(南部の人が)あの旗を振っているときは、黒人がどう思うかを考えてやめたりはしない。俺はちゃんと考えなかったことに責任を感じている……。本当にばかげていた。あんなことをするべきではなかった。

とても好感の持てる発言だ。明快でわかりやすい。彼は自分の意見に固執せず、言い訳もしていない。ただ、ことのいきさつを説明し、自分が過ちを犯したことを認め、傷つけてしまった人々をあげ、後悔の念を表している。これが正しい謝り方だ。

仮にあなたが当事者で、人気ロックスターが憎しみのシンボルを正当化したせいで苦痛を感じた立場だったとしても、(たとえ数年後でも)この発言を読めば、苦痛は消えるかもしれない。

実際にあったアメリカ議員による謝罪

次に、別の種類の謝罪を取り上げてみよう。2020年7月、下院議員テッド・ヨーホーは議事堂の階段で同僚のアレクサンドリア・オカシオ=コルテス議員を侮辱し、彼女を(その中でもとくに)「ファ〇〇ング・〇ッチ」と呼んだ。謝罪に追いこまれたヨーホーは、議場で起立して、次のように述べた。

先ほど、ニューヨーク州の同僚との会話で無愛想な態度をとってしまったことを謝罪する。アメリカの政策や展望について、我々が意見を異にするのは事実だが、だからといって礼を失するべきではない。

ここまでは申し分ない。実際に口にした言葉ではなく、会話中の「無愛想な態度」に対して謝罪を求められているとは思わないが、とりあえず、そういうことにしておこう。

誰に謝っているのかもわからない、さんざんな内容

私は45年前に結婚し、2人の娘がいる。自分の発言については、十分に認識している。メディアが私によるものだとする不快な呼び方は、同僚議員に向けられたものではなく、そのように解釈されたのであれば、誤解を招いたことをお詫びしたい。

これはまずい。何かに謝罪をしていると主張する人が、理由もなく妻や子どもを持ち出したら、警鐘を鳴らすべきだ。自分は悪い人間ではない。私を愛している人がいて、自分自身も親だから。

さらに、問題の出来事が起こったことを否定すれば、それはちっとも謝罪ではない。もし起こらなかったのなら……、なぜ謝るのか? そして最後に、「そのように解釈されたのであれば」? オカシオ=コルテスは「ファ〇〇ング・〇ッチ」という表現をどう「解釈」すべきなのか? 滑稽な、悪気のない冷やかし? だが、とりあえず議員には続けてもらって、この列車を線路に戻せるかどうかを見てみよう。

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