沢田研二「"オワコン"と言われてから復活」の凄み 75歳のジュリーはなぜ再ブレイクできたのか
東洋経済オンライン / 2024年6月9日 14時0分
2022年に発売された沢田研二のシングル「いつか君は」(写真右)と『早川タケジ作品集 JULIE by TAKEJI HAYAKAWA 早川タケジによる沢田研二』(画像はともに沢田研二公式サイトより)
6月9日、昨年6月13日にBS-TBSで放送され、大きな反響を呼んだ特別番組「沢田研二 華麗なる世界 永久保存必至!ヒット曲大全集」が再放送される。
思い返せば、彼が“世紀の大リベンジ”をやってのけたのも、昨年の6月だった。
2018年10月17日、さいたまスーパーアリーナライブの開演1時間前に、空席が多いからという理由でコンサートをキャンセル。世間を騒がせた彼はファンに謝罪し、「必ずリベンジします」と宣言した。
そしてその言葉通り、5年後の2023年6月25日にさいたまスーパーアリーナ「まだまだ一生懸命」ツアーファイナルバースデーライブを大成功させた。
変わらない歌声。躍動するパワー! WOWOWによるライブ中継も相まって、X(旧Twitter)には「#沢田研二」がトレンド入り。そのパフォーマンスへの賛辞と興奮冷めやらぬ感想が途切れることはなかった。
“オワコン”扱いされたりもしたが…
あれから1年経つが、彼の勢いは止まっていない。「80まで歌い続ける」と宣言し、時代の先端を走り続けている。
私が生まれたときにはもう、ジュリーは大スターであった。
1967年、ザ・タイガースの一員としてデビューし、フォークでもロックでもない、まったく新しい“グループサウンズ”旋風を巻き起こした。1971年にソロデビューしてからは、「危険なふたり」や「時の過ぎゆくままに」など名曲を連発し、女性は彼に恋焦がれ、男性はその声にブランデーを飲みながら聞き惚れる――、そんな唯一無二の世界を作り出した。
1980年には「TOKIO」、翌年には「ス・ト・リ・ッ・パ・ー」など、自らの体をアートのごとく彩り、ポップアイコンとして新たな表現に挑戦した。
このように、昭和の歌謡史をひもとくにおいて、沢田研二という人は、どの時代もジャンルの枠におさまりきらず、その圧倒的存在感を示してきた。
ただ、彼のすごさは、むしろそんなまばゆいスター歴を自ら危機にさらすような“賭け”に出る点にある。
1990年以降から、テレビと距離をとった沢田。これまでの輝かしい経歴からも、あえて一線を引くような活動スタイルとなった。楽曲は自己プロデュースに方向を転換。ライブでは新曲しか歌わず、ときには客席に向かって怒ることもあったという。
この頑なな路線ゆえ、時折インターネットや週刊誌などの記事で名前が出るものの、「頑固で傲慢」とバッシングの対象になったり、“オワコン”扱いされたりもしたのである。
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