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ジャカルタ鉄道新線「日本支援で建設」決定の裏側 JICA現地事務所長に聞く「東西線プロジェクト」

東洋経済オンライン / 2024年6月22日 7時30分

2019年3月に開業したジャカルタMRT南北線を走る日本製車両。東西線も日本支援で建設されることが決まった(筆者撮影)

5月13日、国際協力機構(JICA)は、インドネシア政府との間で1406億9900万円を限度とする「ジャカルタ首都圏都市高速鉄道(MRT)東西線事業フェーズ1(第一期)」向け円借款貸付契約(L/A)に調印した。

【図解】インドネシア・ジャカルタMRT南北線・東西線の路線と計画。南北線に次いで東西線も「日本の支援」で建設されることが決まった

ジャカルタ首都圏では円借款供与によりMRT南北線フェーズ1(約15.7km)が2019年3月に開業し、現在、その延伸区間であるフェーズ2-A(6.3km)が建設中だが、南北線に次いで東西線も日本の支援で建設されることがついに決まった形だ。引き続き、本邦技術活用条件(STEP)が適用され、土木工事のみならず、信号システムや車両に至るまで日本の技術が用いられることになる。

長かった「調印までの道のり」の裏側

東西線フェーズ1(第一期)は主にジャカルタ首都特別州(DKI)内区間であるトマン―メダンサトリア間約24.5kmだが、最終的にはバンテン州バララジャ―西ジャワ州チカラン間約84.1kmを結ぶ長大路線となる。第一期区間が日本の技術で建設される意義は大きく、向こう20年間の巨大プロジェクトが動き出したといえる。

しかし、南北線と異なりDKI外の区間も存在するこの東西線事業は、今回のL/A調印に至るまでさまざまな紆余曲折を経てきた。

東西線の事業準備調査(F/S)は2010年末に契約され、最終報告書は2013年に提出されているが、巨額の資金を必要とするためインドネシア政府は一時期国家戦略プロジェクトの優先対象から外し、PPP方式も模索していた。2015年に「ジャカルタ都市高速鉄道整備事業(E/S)(フェーズ1)」として19億1900万円を限度とする借款が結ばれ、基本設計と入札補助が行われたものの、その先の道のりは長かった。

そもそも、当時は本体着工時に日本の技術を用いることができるかどうかすらわからなかった。だからこそ、今回のL/A調印には関係者一同がほっと胸をなでおろしたことだろう。

今回の調印に至るまでの間、一体その裏側では何が起きていたのか。この数年来、L/A調印実現に向けてインドネシア政府、そして世界の開発ドナーとの調整に奔走してきたJICAインドネシア事務所長の安井毅裕氏にインタビュー取材を行った。東西線プロジェクトのこれまでとこれから、そして、そこから見えてきたものとは――。

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