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資産運用しない高齢者を待ち受ける悲惨な未来 穏やかで豊かな老後生活を送ることはできるか

東洋経済オンライン / 2024年6月29日 9時30分

(写真:Luce/PIXTA)

岸田政権が、今年の秋にも年金生活者に対して経済的な支援を行うことを打ち出している。例によって、財源を調達してからの議論ではなく、赤字国債の発行による財源調達と考えられているが、このままでは日本の財政はそう遠くない将来には、危機的な状況に陥るのではないか……。それほど、日本の財政規律は緩みっぱなしと言っていいだろう。

そんな状況では、将来的に年金制度や皆保険制度が維持できるのか、不安に思う人は多いはずだ。とりわけ、Z世代と呼ばれる若年層は、将来的に自分たちの老後を政府が面倒を見てくれるとは思っていない傾向が強い。自分の将来は、自分で切り開く以外に方法はない、と思っている若者は多い。

その一方で、シニア世代と呼ばれている60歳以上の高齢者は、現在でも自分たちの老後は、政府の用意してくれる年金制度を頼りに暮らしていこう、暮らしていけると考えている人が少なくないようだ。確かに、現在では、70歳を超えてからも働いている人は数多いが、基本的に定年退職まで貯めたお金をベースに、年金を中心とした老後設計を立てている人が多いはずだ。そして、数多くの高齢者は自分の資産を銀行預金や郵便貯金に預けたままで安心している、運用しない人が大半だろう。

しかし、世界はここに来て大きく方向転換し、「新しい戦前」とも呼ばれるような、将来を見通せない不安定な時代になってきている。そんな状況の中で、果たして資産運用をせずに、銀行預金や郵便局の貯金だけで老後が乗り切れるのか……、考えてみたい。

「2025年問題」をどう捉えるか?

2025年問題というのは、戦後ベビーブーム世代と呼ばれる、1947~1949年の3年間に生まれた約800万人の世代が、揃って75歳以上の後期高齢者になることを意味している。戦後の人口爆発によって誕生した「団塊の世代」と呼ばれる人々のことだ。これまでにも、日本の消費動向や文化など、経済全体に影響を及ぼしてきた。彼らが揃って後期高齢者になれば、さまざまな面でこれまでの常識が通用しなくなると考えていいかもしれない。

10年前の予想では、2025年には3500万人の高齢者人口になるとされていたのだが、2023年1月1日現在の高齢者人口は、すでに約3617万人(総務省統計局、2023年6月の概算値)となっており、総務省の人口推計を超えている。ちなみに、認知症の高齢者の数も約320万人と想定されていたのが、2025年には約675万人になるだろうと指摘されている(「2025年問題とは|与える影響や対策を社労士が分かりやすく解説 朝日新聞SDGs ACTION! 2023年8月1日配信)。

社会保障費の負担増が大きな問題に

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