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TVマン見た「マジで秘境」チベット仏教の村(中編) 歴史に刻まれた「チベット遺産」と異文化の影響

東洋経済オンライン / 2024年7月6日 12時1分

人けのない村で必死の宿探し。ようやく出会った村人から出た言葉は……(写真:筆者撮影)

世界36カ国を約5年間放浪した体験記『花嫁を探しに、世界一周の旅に出た』が話題を呼んでいるTVディレクター・後藤隆一郎氏。

その後藤氏が旅の途中で訪れた、ヒマラヤ山脈にある辺境の地、チベット仏教の聖地「スピティバレー」で出会った「標高4000mに暮らす人々」の実態をお届けします。

*この記事の前半:敏腕TVマンが見た!驚いた!「マジで秘境!」チベット仏教の村(前編)
*この記事の続き:敏腕TVマンが見た!驚いた!「マジで秘境!」チベット仏教の村(後編)

2匹のロバと農業用トラック

バスの停留所は広い敷地にぽつんと存在していた。バス停の看板すらない。

【写真で見る】敏腕TVマンが見た!驚いた!ヒマラヤ奥地「中国との国境至近の村」で暮す人の"リアルな生活"とは?

オフラインマップで確認すると、そこには「ヘリポート」と表記されていた。有事の際に車での移動は遅すぎるため、軍隊や政府の重要人物がこの奥地までヘリで飛んでくるための場所なのだろう。

だが、その広々とした敷地に停まっているのは、ヘリではなく、水色とオレンジに塗装された大型の農業用トラック1台だけだった。

その前には、2匹のロバがのんびりと寝そべっていて、人間の存在などまるで気にしていない様子だ。

トラックの後ろには「BLOW HORN」という文字が書かれていた。その言葉は直訳すると「角笛を鳴らせ」となるが、スラングとしては「自画自賛」のような意味合いも持っている。

トラック運転手らしいセンスのいい言葉選びだ。BLOWとHORNの間には孔雀の絵が描かれており、この辺りに住む人々と野生動物との距離の近さを象徴しているように思えた。

ナコのバス停に降り立ったのは、俺とカナさんだけだった。若いイスラエル人の姿はどこにも見当たらない。

途中のバス停で降りてしまったのだろう。

こんな辺境の地を旅する数少ないバックパッカー仲間として、せめて一言くらい挨拶してくれればいいのに、と、少しばかり寂しく感じた。きっと、本当はシャイな奴なのだろう。

美しい景色は高地に生きる人々の営み

俺たちは遠くに広がる雄大な岩山の斜面に位置するナコの村を目指して、一本のアスファルト道を歩き始めた。

村の背後にはレオ・プルギル山がそびえ立っていて、その山を越えれば、そこはもうチベット自治区だ。歩みを進めると、緑の美しい段々畑が目に入ってきた。

岩山の斜面にわずかばかりの平地を見つけ、村の人々はそこで辛うじて農業を営んでいる。広大で無機質な岩山の茶色と、人間の生活の営みが作り出した小さな緑色のコントラストがひときわ目を引く。

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