ウォール街に定着した「ブラック・スワン」戦略 「暴落時費用対効果」を常に得られるポジション
東洋経済オンライン / 2024年7月30日 11時0分
スピッツナーゲルの心配の種である連邦準備制度が、何十億ドル分も社債を購入して金融システムに前代未聞の規模の流動性を注入していた。ジャンク債までが買いの対象となった。そしてアメリカ議会は資金繰りに苦しむ企業と家計に対する兆ドル規模の財政援助を開始した。
連邦準備制度と議会の共同作戦に加え、ヨーロッパなど各国でも救済策が実施されたことが、歴史的ともいえる規模のリスク行動の引き金を引いた。金利が史上最低の水準に下がって債券投資ではほとんど利益が出なかったので、血眼で利回りを求める投資家たちは唯一利益を出せる株式市場に行くしかなかったのだ。株がバブル状態になったため、デイトレーダーが1990年代後半のドットコムバブル以来の勢いで新たに波を打って押し寄せ始めた。
スピッツナーゲルにとっては、樽に火薬がさらに追加される─―そしてすべてが崩壊したときにユニバーサが手にする利益が増えるだけの話だった。
(訳:月谷真紀)
スコット・パタースン:『ウォール・ストリート・ジャーナル』記者
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