実は日本が世界3位「アルピーヌ」したたかな策 小規模ブランドがF1やル・マンに参戦するワケ
東洋経済オンライン / 2024年7月30日 10時0分
「世界3大レース」をご存じだろうか。一般的にはモナコで開催される「F1モナコGP」、アメリカで開催される「インディ500」、そしてフランスの「ル・マン24時間レース」が、それに数えられる。
ル・マン24時間レースは、101年もの歴史を誇り、1991年には、マツダがロータリーエンジン搭載の「787B」で日本メーカーとして初優勝。大きな話題となった。近年では2018年から2022年にかけて、トヨタがハイブリッドのレーシングカーで5連勝している。
ル・マンとはサーキットがある街の名前だが、アジアを舞台にした「アジアン ル・マン」をはじめ、他地域でもその名を冠したレースが開催されるなど、ル・マン24時間レースは特別な存在なのである。
そんなル・マン24時間レースは、今年も熱戦だった。なんと、レース終了を告げるチェッカーフラッグが振られた時点で、上位9台が同一周回を走っていたのだ。
24時間で4200km以上を走ったにもかかわらず、上位9台の差はたったの13.6km。しかも、優勝したフェラーリと2位のトヨタとの差はわずか14秒と聞けば、その白熱ぶりがわかるだろう。
レースに“たられば”は禁物だが、もしもゴール1時間前に雨が降っていなかったら、勝利の女神はトヨタに微笑んでいたかもしれない。
アルピーヌCEOへのインタビューが実現
そう熱く語ってしまうのは、筆者が現地でレースを観戦していたからだ。しかし、今回の本題はレースではない。
熱いバトルが展開されていた決勝日のパドックで、アルピーヌのCEOを務めるフィリップ・クリーフ氏にインタビューのチャンスを得たのだ。そして、「今のアルピーヌの立ち位置」や「今後の展開」などをゆっくりと聞くことができた。
【写真】「A110」に続く新生アルピーヌの2車種目、ル・マンで初公開された新モデル「A290」がカッコいい(98枚)
ル・マン24時間レースにも参戦するアルピーヌとは、ルノー傘下にあるフランスのスポーツカーブランドである。ルーツをたどると、ルノーのディーラーも経営していたレーシングドライバー、ジャン・レデレがルノー車のチューニングや競技車両の製作を行ったことにある。
モータースポーツ活動と並行して「A110」の初代モデルなど独自の市販スポーツカーを手掛けたのち、1973年にルノー傘下に。その後も「V6」や「A610」などスポーツカーを世に送り出した。
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