「日本発の株価大暴落」はまだ終わっていない 暴落は収束したかに見えて何度もやって来る
東洋経済オンライン / 2024年8月10日 9時30分
また、アメリカのサブプライムバブルのときは、初めて住宅ローンを組んだ低所得者層までが、住宅価格の上昇で借入可能額が拡大したことを利用して大型テレビや高級自動車を買っていたから、そうした消費が一気に冷え込んだ。その結果、サブプライムバブルとはあまり関係がないと思われた、日本の自動車産業(とくにレクサスなどの高級車)は売れ行きが大きく落ち込んだ。
今回の日本株の暴落で怖いのは、これまで株式投資をしてこなかった個人が多数巻き込まれていることである。アメリカでは、いわゆるコロナ給付金で初めて株を買った「ロビンフッダー」が有名だが、さらに被害が大きいのはNISA(少額投資非課税制度)で株式投資を始めた日本の個人だ。
とくに今年から制度が拡充された新NISAで買い始めた人々は、買って1年も経たないうちに株価が大幅下落に見舞われたのだから、「今後、株なんて買わない」「長期間塩漬けにするしかない」と考える人が、かなりの数にのぼりそうだ。これは、まさにNTT民営化に伴う1987年以降の6度にわたる政府保有株の売り出しに応募して、高値づかみをした個人と同様だ。長期的に、投資に対してゆがんだ行動をとるようになるだろう。
一方、機関投資家と呼ばれる運用者たちは損失を被っているが、それはいつものことで、大きな事後的な影響はないだろう。実体経済への影響としては、今回は少ないと思われる。
例えば、1980年代後半の日本のバブルでは、多くの企業が「財テク」で不動産や株式などに投資していたから、その後の企業行動に大きな制約がかかり、バブル崩壊から立ち直るのに時間がかかった。
オリンパスの2011年にスキャンダルとなった粉飾決算に関連する事件も、ガバナンス(企業統治)の問題というよりは、結局は、1985年以降の円高対策としての財テクの失敗を長期的に償却するための行動であるから、「財テクの失敗」が実は本質であった。
ただし、今回のバブル崩壊では、日本企業はコロナ後急激にM&Aを活発化させたところであるから、財務面では一部マイナスの影響は残るだろう。
1929年の大暴落時はアメリカへ大量の海外資金が流入
(3)流動性がどこから来ているか
資金はどこから来ているのか。国内か海外か。政策的に供給されているか。銀行が提供していたり、銀行を迂回した融資が提供されていたり、ということが多いが、自己資金の場合もある。あるいは、中央銀行や金融当局が引き締め、監視を行い、流動性を吸い上げたり、資金の流れを止めたりする。
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