スポーツバイクのセミオートマ化が進む真意 ヤマハ「MT-09」へ新機構「Y-AMT」搭載を発表
東洋経済オンライン / 2024年8月14日 10時0分
Y-AMTは、2024年6月に欧州で先行発表、国内では今回が正式発表となる。主な特徴を以下に紹介しよう。
一般的にバイクのMT車は、左手によるクラッチ操作と、左足によるシフト操作によってシフトチェンジを行う。対してY-AMTは、これらのアクションをアクチュエーター(電動モーターを使った駆動装置)が担当。人による操作なしで、自動的にギアチェンジを可能とするシステムだ。
主な仕組みは、ECU(エンジンの制御を司るエンジンコントロールユニット)とMCU(アクチュエーターの制御を司るモーターコントロールユニット)が通信で連携。ECUは、シフトアップ時のエンジン点火/噴射、シフトダウン時の電子制御スロットルなどをコントロール。MCUは、ECUからの情報をもとに、最適なシフト操作・クラッチ操作をアクチュエーターに指示し、ギアチェンジを自動で行う。
しかも前述のとおり、シフトレバーで手動操作する「MTモード」と、変速を完全自動化する「ATモード」の両方を搭載。モードの変更は、ハンドルのスイッチボックスに備えた切替ボタンで行う。
MTモードでは、左ハンドルにあるシフトレバーで変速操作を実施。「+」レバーを人さし指で引けばシフトアップ、「-」レバーを親指で押せばシフトダウンする。また、スポーツ走行で素早く減速する際などは、親指も使ってハンドルグリップをしっかりとホールドすることも多い。そうしたシーンでは、「+」レバーと人さし指のみの操作も可能で、引けばシフトアップ、外側に弾けばシフトダウンとなる。
一方、ATモードにすると、車速やアクセル開度に応じて最適なギアをバイクが自動的に選択する。ライダーが行うのはアクセルとブレーキ操作だけだ。また、ATモードには、穏やかな走りとなる「D」と、スポーティで俊敏な走行が可能な「D+」といった2つのモードも用意。なお、MTとATの切り替えは、右ハンドルのスイッチボックス外側にあるレバーを押すことで可能だ。
MT-09 Y-AMTの概要
こうした新機構を搭載し、2024年内に国内販売を予定するのが、900ccのスポーツモデルMT-09 Y-AMTだ。このモデルは、アグレッシブなスタイルや、街中からワインディングまで軽快に走れることが特徴のMT-09がベース。888cc・3気筒エンジンを搭載するカウルレスのネイキッドと呼ばれるスポーツモデルだ。
エンジンは最高出力120PSものハイパワーを発揮。剛性バランスを最適化したCF(コントロールド・フィリング)アルミダイキャスト製フレームや、超軽量に仕上げた「スピンフォージド・ホイール」など数々の最新技術により、車両重量193kg~194kgという軽い車体も実現する。これらにより、街中からワインディング、高速道路まで、幅広いシーンで軽快なハンドリングを楽しめるモデルだ。なお、ラインナップには、スタンダード仕様に加え、専用フロントサスペンションなどを装備した上級グレードのMT-09 SPも用意する。
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