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「自信がない人」は簡単なことに気づいていない 自己肯定感を高められる「超簡単テクニック」を伝授

東洋経済オンライン / 2024年8月15日 20時0分

自慢にしかならないだろ。その実績を貶せるのは全国一位の奴だけでしょ。

全国2位よ? 日本人は一億二千万人いるのよ? 自分の下に119,999,998人以上いるのよ? 覇者じゃん。皇帝じゃん。閣下と呼ばせてください。

「えー、一生誇れる素晴らしい功績だと思いますけどねー! もしかしたら書道の先生のバイトとかできるんじゃないですか?」

若き天才、ないしは全国2位に教えてもらえるのだ、絶対に需要はあるだろう。

しかし大学生は改まった様子で虚空を見つめて、再度私にこう返した。

「いや、でもそのあとずっと入賞できなくて。そうしたら私の過去の入賞も全部マグレだったんじゃないかって思えてきて、実感もなくなって全てが嫌になってしまったんです。だからもうこのこと忘れようかなって思っています……。なんかすみません、こんな話しちゃって」

手元のコーラよりも気の抜けた素振りで、彼女は暗い雰囲気に包まれ、私は何を言えばいいかとあたふたとしてしまった。そんな苦い記憶である。

その後も、私は人生で似たような人間に三人遭遇した。

一人は、世界三位のパントマイムパフォーマー。もう一人は数学オリンピック国際大会出場者。最後の一人は、けん玉の世界チャンピオン。

しかし、そんな栄光を手にしているのに、全員が口を揃えて自信なさげにこう言うのだ。

「私、そんなすごくないです」と。

自身の能力を必要以上に高く見積もり、油断や隙を生むのは言語道断だが、低く見積もって自分の精神面や他者からの評価にダメージを与えるのは非常にもったいない。

評価は、他人からされるものであり、他人と比較されて決まるものなのだから、何かのランキングや賞を得た人間の能力が低いだなんてことは理論上ありえない。

だが、自身を過小評価してしまう人は少なくない。

それは、非常にもったいないと言えるだろう。なにせ実力はあるのだから。

具体的には、自身を過小評価すると自分の存在をとにかく小さく考え、行動が委縮する。行動が委縮するから自身の評価が低いままで、また自分を小さく考え、行動が……といった、無限マイナスダメダメ落下オーマイガーサイクル(勝手に名付けた)に陥る。

そして、最悪のパターンになると「過去の私はすごかったかもしれないけど、今の私は……とても社会や他人に見せられるものでは……」というように、何も悪くないのに自身が自身を傷つける心理状態に陥ってしまう。

ちなみに、この心理状態を「インポスター症候群」という。インポスター症候群とは、自己の能力や立場、財産や成功などについて、自分の実力を心の中で肯定できずに、自分を過小評価する心理状態のことである。

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