「WR-V対ヴェゼル」ホンダSUV似て非なる価値観 同じコンパクトSUVながらターゲットが異なる
東洋経済オンライン / 2024年8月15日 8時0分
発進時や市街地などでの低速走行時は、主にモーターのみで走る「EVモード」を使用。また、速度がある程度上がったり、登り坂などで加速したりするようなシーンでは、エンジンが充電のために始動し、走行用モーターで駆動する「ハイブリッドモード」に切り替わる。さらに高速道路の巡航時など、エンジンが得意とするシーンでは、エンジンのみの動力で走る「エンジンモード」に切り替わる仕組みだ。
一方、ガソリン車のWR-Vでは、パワーボタンを押すとエンジンの始動音が聞こえるが、アイドリング状態はかなり静かだ。ヴェゼルe:HEVと同様、シフトノブは一般的なレバー式で、Dレンジに入れてアクセルを踏むと、こちらもスムーズに発進。市街地でよく使う40~60km/hの速度域では、ストレスのない走りを味わえる。
ただし、ヴェゼルe:HEVの場合は、平坦な道で、バッテリーの充電状況が良ければ、50km/h程度まで、エンジンが始動しないEVモードのままで走ることができる。そのぶん、静粛性はWR-Vよりも上だ。とくに登り坂など、勾配がきつめの道を走る場合は、WR-Vのほうが、エンジン音がやや大きめとなる。
そうしたシーンでは、ヴェゼルe:HEVも、ハイブリッドモードに切り替わりエンジンが始動するが、さほどうるさく感じられない。ホンダの開発者によれば、新型ヴェゼルは、「ダッシュボードやルーフ、フロアの各遮音材と防音材を厚くし、配置も最適化した」という。その効果もあるのだろう、市街地走行時の静粛性という意味では、ヴェゼルのほうに軍配が上がる。
さらにヴェゼルe:HEVには、アクセルオフ時の減速感を4段階で調整できる減速セレクターや、しっかりとした減速となるBレンジを備える。これにより、アクセルのオン・オフだけで速度調整する、いわゆるワンペダル操作も可能だ。長い下り坂やストップ&ゴーの続く渋滞路などで、頻繁にブレーキペダルを踏む必要がない。WR-Vにも、ステアリングの左右にパドルシフトを備え、マニュアル車感覚のシフトチェンジが可能。だが、さすがにワンペダル操作まではできない。ロングドライブなどで、より疲労軽減が期待できる機能を持つのは、ヴェゼルe:HEVのほうではないだろうか。
高速道路での走り
高速道路の巡航でも、両モデルともに、直進安定性が高く、スムーズな走りを味わえる。また、タイヤから発するロードノイズなどもあまり聞こえず、静粛性も高い。とくにヴェゼルe:HEVは、エンジンの動力で走行するエンジンモード時にモーターが動力をアシストする領域を拡大。これにより、回転数をあまり上げずにエンジンのみで走るシーンを増やし、さらに静粛性が向上している。
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