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結局、米国人は何を「決め手」に大統領を選ぶのか 選挙の相棒を「急進左派的」人物に決めた背景

東洋経済オンライン / 2024年8月16日 11時0分

ハリス氏は選挙戦を戦い抜くパートナーとしてワルツ氏を選んだ(Photo by Andrew Harnik/Getty Images)

2024年11月5日に行われるアメリカ大統領選挙。トランプ氏銃撃事件、バイデン氏の辞退、ハリス氏の指名、と両陣営ともに波乱続きの選挙戦となっています。8月6日には、ハリス氏がワルツ氏を副大統領候補に選んだことを発表、これは両陣営の戦いにどのような影響をもたらすのでしょうか。

【図解】トランプ氏とハリス氏のポジショニング戦略

本記事では、いくつかのアメリカ調査や選挙マーケティングの分析を通して、今回の選挙戦において「アメリカ国民は何を重視しているのか」を見ていきたいと思います。

“裏庭のバーベキューで出会うような男”の起用

ワルツ氏を副大統領候補に選んだことは、ハリス氏の大統領候補として初めての大きな決断でした。

ジャマイカ出身でアフリカ系の父とインド出身の母を持つハリス氏にとって、ワルツ氏とは属性的には補完し合い幅広い層へ訴求する人選と言えるでしょう。

ワルツ氏は白人男性で元教員、フットボールのコーチを務め、軍に所属していた経歴があり、米メディアが評するようにまさしく“中西部の裏庭のバーベキューで出会うような男”といったところでしょうか。それは農村部や白人男性の票を獲得するのに有利な属性であり、激戦州の勝利につなげる狙いが読み取れます。

しかし、ワルツ氏の知事としての実績を見ると“ばらまき政策”とも評される政策を行ってきています。

また、中間層や不法移民への社会保障を手厚くする一方で所得税引き上げ、公益事業会社に対して2040年までに発電量を100%カーボンフリーにすることを義務付けるなどの急進左派的な政策は、農村部や白人男性の票を獲得する上ではウィークポイントになりえるでしょう。

特に鉄鋼や自動車などの製造業を多く抱え、激戦が予想されるラストベルト(錆びた一帯)の州では、これらの政策だけ見るとかなり不利なわけです。

アメリカのメディアの報道は

この選択はどう出るのでしょうか。アメリカの各メディアの報道を見てみましょう。

ウォールストリートジャーナル8月7日の社説では「ワルツ氏を選択、進歩派の圧力に屈したハリス氏」と報じています。この背景をみていきます。

ハリス氏はワルツ氏起用の理由に「中流階級の家族のために戦うという彼の信念」などを挙げていますが、実際にどのような過程で、何が決め手でワルツ氏を起用したのか、本当のところはわからないわけです。

トランプ陣営にとっては、ワルツ氏が選ばれたことは良い知らせでした。ペンシルベニア州知事のシャピロ氏が選ばれることが最大の脅威だったからです。ペンシルベニア州は今回の戦況におけるスイングステート(共和党・民主党の支持率が拮抗している州)で、この州をどちらの党が取るかが選挙戦の行方を大きく左右するのです。ペンシルベニア州の知事であるシャピロ氏を副大統領候補に据えられると、ここでの共和党の勝利は極めて難しくなっていたでしょう。

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