「60代以降に衰える人」が"無意識"にしていること 中高年が陥りやすい「不健全思考」とは何か
東洋経済オンライン / 2024年8月22日 7時30分
あの孔子によれば「六十にして耳順う」。そんな“精神的な安定期”に入る年代に、実はうつ病というかたちでメンタル不安になる人が少なくありません。厚生労働省の調査(2017年)によると、気分障害患者の31.7%は65歳以上です。
自身の役割や立場、環境に大きな変化が訪れる60代。人生後半への入り口で陥りやすい「負の思考」をどう乗り越えればよいのか。精神科医として多くのシニア世代と向き合ってきた保坂隆さんが「60歳からこれをやめたら一気に老け込むこと」を解説。今回は「中高年がやりがちな不健全思考」です。
脳は「ネクラな臓器」
脳というのは基本的にネクラな臓器です。これは人間に防衛本能がある以上、仕方のないことです。防衛本能とは、身体的危険や心理的脅威に対して自分を守るために働く本能です。人間が狩猟民だったころは、獣に襲われないように神経を張り詰めて狩りをしていたことでしょう。「どうにかなるさ」の楽天家では生き残れないという世界だったと思われます。
何万年もの進化のなかで文明も発達して、身体的防衛本能は衰退していきますが、心理的脅威に関しての防衛本能は、機能活発です。そのために脳は、油断するとすぐに次のような仕事をします。
①過去については、後悔のネタを探し続けます。
②未来については、心配や不安の種を探します。
①に関しては、本来は過去の失敗を繰り返さないようにという防衛本能です。あそこの山の崖には気をつけなくてはいけない、この間は狩りでしくじったが同じ失敗はしないぞというように、本来は生活を前向きにするための教訓的な防衛本能だったと思います。
現代では、後悔や失敗を思い浮かべるたびにネガティブ思考が深まっていくのが特徴です。ネガティブ思考が頭のなかでグルグルまわって、自分への教訓という考えにはいたりません。
②に関しても、未来も安全に平穏に暮らしていくための防衛本能です。台風への備え、寒さへの備え、食料の確保など安心して暮らしていくために必要な未来への準備です。未来への備えは、個人だけでなく家族や地域のためでもあります。
過剰に防衛的になっていないか
ただ、現代ではいろいろな事件のせいもあり、過剰に防衛的になっていく場合があります。情報があふれ、脳が危険信号を出す頻度が増えます。脳は基本、ネクラなので悪いほう悪いほうに考えようとします。脳はこのようにネクラになりやすいのですから、私たちも対策を考えなくてはいけません。
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