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火星でコケが育てば人類は住めるようになるのか 研究者が語るテラフォーミングの意義と可能性

東洋経済オンライン / 2024年8月23日 19時0分

アストロバイオロジー(宇宙生物学)という分野があり、研究テーマの1つに、生命の起源の研究があります。生命はほかの星から来たのかもしれません。それを否定する根拠は今のところありません。僕もその分野の人たちとかかわっていて、生命の起源を宇宙で探しています。

タンポポミッションというのがあります。タンポポの種がふわふわと飛ぶように、生命の起源、これ自体は生き物や細胞を指すのではなく、そうしたものを構成する物質のことを考えているのですが、こうした生命の源となる物質が宇宙でふわふわと飛んでいて、それが地球にたどりついたのではないか、それが地球でさらに化学反応を起こして変化し、より複雑化して自己増殖できるようになり、さらに長い進化の過程でヒトをはじめとした今の地球ができたのではないかという考えです。

国際宇宙ステーション(ISS)に虫取り網のようなものをつけて、宇宙に漂う塵の中から生命の起源を探している壮大な研究なのです。我々はどこから来たのかわからない、その決着はまだついていません。今後人類が火星に行って、1億年ぐらいたつと、その過程を記録に残すことができるからその変遷はたどることができ、「今とはずいぶん違うね」ということになるでしょう。

テラフォーミングは今いる人類の英知の大きな作品に

堀口 高分子からヒトができるという考えには無茶がありますよね。

藤田 生物学を研究していて、生き物とは何かということを知りたいのですが、高分子からどうして細胞ができるのかはわかっていません。そこは本当に根源的な問いであり知りたいですね。地球が太陽系の一員として誕生してから46億年たつと言われています。この悠久の年月の中で起こった変化が理解できれば良いはずです。生命の起源、そしてヒトへの進化、今ある生態系への進化、構築は奇跡的な気がします。地球はかけがえのない星、まさにそんな思いです。

堀口 新たな生命をつくるよりは、テラフォーミングのほうが現実的に感じます。

藤田 はい、かけがえのない地球と同じような場所を人類の共通財産としてもう1つ新しく持つことができたならば。これから僕らが実際に他の惑星に行き、それを記録に残すと、全てトレースできますよね。考えながらできる。人類が人類のためのものを共同で新しくつくっていく。環境だけでなくルールや新しい文化も。テラフォーミングは今いる人類の英知の大きな作品になると期待しています。住みやすい惑星ができたらいいなと考えています。

コケは火星でどこまで耐えられるか

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