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火星でコケが育てば人類は住めるようになるのか 研究者が語るテラフォーミングの意義と可能性

東洋経済オンライン / 2024年8月23日 19時0分

堀口 テラフォーミングができるとしたら火星ですよね。藤田先生の中で、火星の大気などのデータを見たときに、これならいけそうというイメージは持たれていますか。

藤田 まだ実験をしていないので、わかりません。ただ、CO2が多いというのは植物にとってはメリットがある。火星の水は塩分濃度が高いと言われていますが、水の問題を克服すれば、火星の大気で少なくともコケは育てることができるのではないかと思います。共同研究者を見つけたので、4月から研究を始めています。

火星は地球より大気圧が低く真空度が高い環境です。つまり大気圧を下げていったときに、コケがどこまで耐えられるかが問題になります。重力が小さいので、大気圧はあまり高くならず、0・01気圧ぐらい。CO2が多いのですが、それで育つのか、もう少し酸素の量を増やさないとならないのか。酸素とCO2の比率を変えて、育つところを見つければいいのかなと思います。コケは地球上では水と光、空気があれば育ちます。土は要りません。火星にはいわゆる地球で見られるような“土〟は存在せずレゴリスとよばれる岩と砂の堆積物が存在します。

また、地球から火星に土を運び込むのはほぼ不可能でしょうから、そういう環境で実験をするのに、コケはとても適しています。火星の大気と気圧を合わせて、あとは光を当てれば、コケは育ってくれるかもしれない。そうすると、火星に行けるのではないかというところに近づけます。

堀口 コケがどれぐらいあれば、ヒトが住めるようになるでしょうか。

藤田 計算しないとわからないですね。コケがどれだけ酸素を出して、ヒトの必要な量の酸素を供給できるのか。

堀口 誰かに計算してもらいましょうか。それって、世界で誰も言っていないですよね。提示できれば、研究や実証が具体的に動きそうです。コケの量がこれぐらいあるとヒトが住めるというシミュレーションができると、火星に移住できますということになる。実現したら、火星は誰のものになるのでしょうか。

藤田 皆のものでいいと思います。ヒトにはさまざまな人種がありますが、生物学的にはたった1種類、一方で昆虫は100万種類以上、花を咲かせる植物は30万種類以上ですから、たった1種類のヒトは皆で仲良く分かち合うべきです。

火星にヒトが住めれば経済圏ができ上がる

堀口 ビジネス的な観点からは、火星にヒトが住めるということになると、それに価値が付く。本当の意味での経済圏ができ上がります。すでに探査機は行っているので移動はできますよね。半年かかるので、三半規管をどう鍛えるかなどの課題はあるようですが。

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