火星でコケが育てば人類は住めるようになるのか 研究者が語るテラフォーミングの意義と可能性
東洋経済オンライン / 2024年8月23日 19時0分
藤田 酸素の発生量を計算することは必要ですね。ラン藻という微生物、クロレラ、ミドリムシ、ユーグレナでもいい。コケではなく、ユーグレナでもいいでしょう。それぞれの予想されるメリット、デメリットを数値で表すことはやらなければなりません。ただし、どのような方法を取れば適切な計算ができるのかわかっておらず、手つかずです。こういう仮説のもとに概算しましたというデータを、俎上に上げなければならないですね。
堀口 そうしたデータが出たら、注目されますね。月はテラフォーミングには適していないと私は思っていますが、藤田先生の認識はいかがですか。
藤田 大気がないということが、地球上で生まれ育ったヒトや動物など生き物が住むには難しい問題です。大気がなく、放射線が直接当たるので、月面に住むことはできない。人間は遮蔽空間に住み、外に出るときは宇宙服を着て散歩に行くという感じになるかもしれません。そういった制約の大きい環境に住まなければならないことになります。
ただし、全く不可能かといえばそうではなく、生き物はいろいろなところに適応できます。ずっと地下で暮らしていれば、洞窟に棲み目を失った魚のような感じで、ヒトも目は不要になって、嗅覚がすごく発達するといった進化を遂げるでしょうね。月面に住む人類、火星に住む人類、地球に住む人類がそれぞれ違う特徴を持つようになるかもしれません。移動手段が早ければ、お隣だねという感じで、仲良くできるのですが、なかなかコンタクトできなければ、どうなるか。
テラフォーミングで新たな居住地をつくったのはいいけれど、地球の僕らとどう交信を続けるのかというのも、面白い想像です。仲間を増やしたい、敵が増えないようにしたい。月は移住に適してはいませんが、住める環境を人工的につくることはできると思います。しかし、テラフォーミングが適している順番を考えるとしたら、まず火星だと思います。
研究予算を取るにも、数値は必要
堀口 スペースコロニーのほうが簡単ですか。ISSは酸素の供給に植物を使っていません。
地球から持ち込んだ酸素を循環させ、なくなったら補充するというやり方です。植物を入れて循環を作ったほうがいいと思っています。技術的にはありえる話でしょうか。
藤田 ありえる話ですが、植物を持ち込んだらコストカットできるのかといった計算を誰もできていません。コケはトマトやイネ、樹木などと比べるとはるかに省スペースで育てられ、酸素を出すので、その計算をすれば、提案できると思います。
この記事に関連するニュース
-
宇宙ビジネスを推進する民間企業がこれからの民間宇宙ステーション時代を見据え、「SORAxIO(ソラクシオ)」を結成しました
PR TIMES / 2024年11月29日 14時10分
-
地球外生命体が存在した痕跡を発見するために優先すべき3つの条件
sorae.jp / 2024年11月29日 10時56分
-
フジテレビが宇宙産業に参入へ。東京科学大学と共同で宇宙教育セミナー開催
マイナビニュース / 2024年11月25日 14時5分
-
JAXAの公募型企画競争「月面推薬生成プラントの実現に向けた水精製及び電気分解プロセスに関する要素試作試験等」に採択
PR TIMES / 2024年11月7日 15時40分
-
光合成をする微生物が火星表面下の“水たまり”で生存できる可能性 最新の研究が示唆
sorae.jp / 2024年11月2日 22時33分
ランキング
-
1LUUPと交通違反、タイミーと闇バイト、メルカリとさらし行為――“性善説サービス”はいずれ崩壊するのか
ITmedia ビジネスオンライン / 2024年11月29日 8時10分
-
2JR東日本「廃線予備軍」はいくつある? 久留里線に続いてしまうのか 被災も引き金に
乗りものニュース / 2024年11月29日 14時12分
-
3スーパーやコンビニなどのレジ袋は有料化されたのに、なぜ「しまむら」は無料なの?ほかの小売業者の対応は?
ファイナンシャルフィールド / 2024年11月28日 5時20分
-
4風呂キャンセル界隈?「日本の偉人」まさかの素顔 凄い人物でも部屋が汚い、そんな姿に親近感も
東洋経済オンライン / 2024年11月29日 11時0分
-
5高級タワマン老人ホームへ引っ越しました!…慶應卒・78歳同期の元常務から届いた満面の笑みの年賀状。年金月30万円・元部長は即座に画像検索「脅威の入居金額」に悶絶
THE GOLD ONLINE(ゴールドオンライン) / 2024年11月29日 10時45分
複数ページをまたぐ記事です
記事の最終ページでミッション達成してください