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経営者は「DXへの過大期待」を今すぐ捨てるべきだ 「効果出ない」悩む経営者に"足りない視点"は?

東洋経済オンライン / 2024年8月27日 8時0分

多くの企業がDX化に着手しているが、満足のいく効果を享受できている企業は少ない(写真:metamorworks/PIXTA)

ローランド・ベルガー、KPMG FASなどでパートナーを務め、経営コンサルタントとして「40年の実績」を有し、「企業のDX支援」を多くてがけている大野隆司氏。

大野氏のところに届く「経営層からの相談内容」が、このところ大きく変化してきているという。「DXの効果が出ない」という悩みが目に見えて増えてきているというのだ。

なぜ、こうした悩みが生じているのか。大野氏が自身の経験や大手・中小企業の現状を交えながら解説していく。

DXに取り組む企業に蔓延する「悩み」

大手コンサルティング・ファーム複数社の調査によれば、2023年度には大手企業のうち少なくとも6割から7割の企業が、全社的にDXに取り組んでいます。

【ひと目でわかる】そもそも「DXって2種類ある」の、知っていますか?

企業によって狙う効果、取り組みの中身はまちまちではありますが、これだけの企業がDX化に着手しているのです。

一方で、ボストン コンサルティング グループ、PwC Japan、あずさ監査法人、独立行政法人情報処理推進機構の調査より作成したデータによれば、満足のいく効果を享受できている企業は1割強にとどまっている、という現状があります。

この数字を鑑みても、「DXの効果が出ない」という悩みは、私が相談を受けている企業に限らず、DX化に取り組む企業全般に共通したものと言えるでしょう。

DX先進企業なのに効果が出ない!?

企業はどんな効果を求めて、DXに取り組んでいるのでしょうか。

DXで狙う効果は、主に以下の2つに集約されます。

①「攻めのDX」…新しい顧客・市場の獲得や新規事業の創出などで「トップラインの伸長」を狙うもの
②「守りのDX」…業務効率化による「コストの削減」を狙うもの

「①攻めのDX」は顧客心理をはじめとして、競合の動き、買収先企業の意思決定、マクロ的な経済情勢、天候やパンデミックといった、自社ではコントロールしづらい外部の影響が大きいため、効果の実現には不確実性を伴います。

片や、「②守りのDX」は、自社内での改革・改善が中心となるため、外部の影響が少なく、効果の発現が見込みやすいという特徴があります。

「効果が出ない」という悩みは、この「②守りのDX」についてが多いのです。

DXが経営アジェンダに登場したのは、経済産業省が2018年に発表した「DXレポート」からです。

私のところにご相談に来られる企業はこの頃からDXに取り組んできた、いわば「DX先進企業」であり、その多くが大企業です。

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