「虎に翼」LGBTQ描写に反発する人に言いたいこと 性的マイノリティを描くことは今や世界的潮流
東洋経済オンライン / 2024年8月27日 10時30分
8月19日の週に放送された『虎に翼』が波紋を呼んでいる。物語の中に挿入される、性的マイノリティの登場人物たちのエピソードが賛否両論を生んでいるのだ。だが、これは世界的な潮流でもある。
【写真】「虎に翼」で“ゲイカップル”を演じた二人の仲睦まじいツーショット
本稿では、その世界的な潮流や、日本でのこの20年の性的マイノリティのドラマ・映画での描かれ方にも触れながら、描くときにとるべきバランスについて考えていきたい。
性的マイノリティのエピソードは世界的な潮流
NHKの朝ドラ『虎に翼』の第21週・101回では、主人公・佐田寅子(伊藤沙莉)の友人である轟太一(戸塚純貴)が自身の“お付き合いしているお方”として、同性の遠藤時雄(和田正人)を紹介。寅子が少なからず動揺する場面がある。
103回では、性転換手術を受けた人物として山田(中村中)や、同性のパートナーを持つ人物たちが登場。「私たちと話したいんでしょ? 何でも聞いてよ」と水を向け、しばらく寅子たちと性的マイノリティに関する談義を繰り広げる。
もちろん、多くの人が見る朝ドラで、このようなテーマが入り込んでくることは意義深いことではある一方、視聴者の中には、これを唐突、押し付けがましいといった感覚で受け取る人もいたようで、賛否が割れている。
たしかに、第21週の『虎に翼』は、主人公の寅子と星航一(岡田将生)が結婚するのかどうかという展開に注目が集まる中、付け加えられたエピソードのように感じた人がいるのも理解できる。
だが、物語の中に、性的マイノリティのエピソードが挿入されるというのはもはや世界的な潮流でもある。
その流れが顕著だったのが近年のディズニー傘下の作品だ。2つ例をあげてみたい。
ピクサー制作の『トイ・ストーリー』のスピンオフ作品である2022年公開の映画『バズ・ライトイヤー』では、かなり唐突に、女性同士のキスシーンが挿入され、2人が子どもを育てていくエピソードが挿入される。それらの描写が問題視され、公開中止になった国もある。
公開中止もやむなしと決意したうえでの、この作品にとって譲れないエピソードなのかとも想像できる。だが、そのシーンは一瞬で、正直、これが男女だったとしても、物語の大筋には大した影響がないといっていいものだった。入れ替え可能なエピソードのひとつとして“付け加えられている”感が否めないものだ。
日本の実写映画がアメリカで改変された例もある。山田太一の小説を原作に、1988年に公開された大林宣彦監督の映画『異人たちとの夏』は、現在はディズニー傘下にあるサーチライト・ピクチャーズによって昨年リメイクされ、『異人たち』というタイトルで今年、日本公開もされた。
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