「3浪で公立大合格」ようやく気づいた学ぶ楽しさ 進学先の大学に合わず、再度受験を決意した
東洋経済オンライン / 2024年9月1日 8時0分
浪人という選択を取る人が20年前と比べて1/2になっている現在。「浪人してでもこういう大学に行きたい」という人が減っている中で、浪人はどう人を変えるのでしょうか?また、浪人したことによってどんなことが起こるのでしょうか? 自身も9年の浪人生活を経て早稲田大学に合格した経験のある濱井正吾氏が、いろんな浪人経験者にインタビューをし、その道を選んでよかったことや頑張れた理由などを追求していきます。
今回は1浪で私立中堅大学に入るも中退し、3浪で兵庫県立大学理学部物質科学科に合格。現在は東京大学大学院新領域創成科学研究科・修士1年生の米村高(こう)さんにお話を伺いました。
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大学に行くのが苦痛で中退する
今回お話を聞いた米村さんは、3浪で兵庫県立大学に入った方です。
「大学に行くのが苦痛」で中堅私大を退学した彼は、2度目の大学生活を「めちゃくちゃ楽しかった」と振り返ります。
その意識の変化には、フリーターをしながら再び受験勉強をしたことが大きかったようです。浪人生活のどのような要因が、彼の意識を変えたのでしょうか。彼の3浪の生活に迫ってみました。
米村さんは埼玉県の自営業の家庭に生まれました。幼少期は鉄道が好きで、買ってもらった時刻表を貪るように読んでいたそうです。
「時刻表から知識を得ていた子どもだったようで、小学校に上がる前には地名を覚えたり、四則演算ができるようになっていたそうです。ほかにも、プール、野球、サッカー、絵画スクールなどたくさん習い事をさせてもらいました」
習い事に対しては「特段嫌なわけではないので、とりあえず通うか」という気持ちで通っていたと語る米村さん。
その背景には、”子どもは小さいうちにさまざまな体験をするのがいい”という教育熱心な母親の考えがあったそうです。
「地方の私立大学出身だった母親は、子どもにはいい学校に行かせたいという思いがあったようでした。そうした考えもあり、小学校受験をして、私立の自由学園の初等部に入りました」
自由学園では成績を競う文化はなく、のびのび過ごしていたと語る米村さん。しかし、小学校3年生のときに人生を変える出来事が起きます。
「小学校2年生くらいから、両親が喧嘩をするようになりました。その時期から父親と僕で話す時間が増えたのですが、父から3年生の末頃に『お母さんと離れて暮らそうと思うんだ、一緒に来ないか』と言われたのです。父に親しみを感じていた僕は『行く』と答えて、和光市から練馬区の大泉学園に引っ越し、父親と2人で住むようになりました」
親の別居で転校し、中学受験を決意
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