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台湾政界の「変人」が引き起こした一大醜聞の中身 政治とカネの問題が繰り返される台湾政治の暗部

東洋経済オンライン / 2024年9月3日 9時40分

台湾民衆党の党首・柯文哲氏。党内での相次ぐスキャンダルにまみれ、自身の不正疑惑で逮捕された(現在は釈放されている、写真・Sawayasu Tsuji/GettyImages)

2024年8月31日夜、台湾政治を揺るがす大事件が発生した。首都台北の前市長で、第3党の台湾民衆党(以下、民衆党)主席の柯文哲氏が汚職容疑で逮捕されたのだ。

さらに、台湾検察は証拠隠滅のおそれがあるとして勾留を裁判所に申請するが、これは却下された。もっともまだ捜査段階であり、柯氏の犯罪が確定したわけではない。現時点ではあくまでも無罪である。しかし、今後の裁判によっては、柯氏は重罪に問われる可能性も否定できないと言われているのだ。

「第三極」の主役の逮捕劇

8月30日午前、台北地検と汚職を取り締まる法務部(法務省に相当)廉政署は、柯氏の自宅や事務所、民衆党本部などへ家宅捜索に入った。そして、柯氏を任意で取り調べたが、当初は協力的だったという。

ところが、取り調べが夜間に及ぶことがわかり、柯氏はそれまでの協力姿勢を一転。取り調べ継続を拒否し帰宅しようとした。重大事件と捉えている当局は、引き続き柯氏の取り調べを継続するため、その場で逮捕と勾留申請に踏み切ったのだった。

柯氏の弁護士は、逮捕手続きに問題がないか、裁判所に審査を申し立てる準備を進めているという。

柯氏逮捕のニュースが伝えられる少し前の8月26日、『美麗島電子報』が公表した世論調査によれば、民衆党に「反感」を抱く人の割合は65.3%を記録、柯氏に不信任を突きつけた人の割合は69.1%と、信任の23.4%を大きく引き離した。

民衆党と柯氏が捜査されるに至った理由はなんだったのか。そして2024年1月の立法委員(国会議員)選挙では「台湾政治のキャスティングボードを握った」とまで言われた民衆党は現在、台湾社会でどのような存在になっているのか。選挙後に発覚した事件も合わせてひもといていきたい。

1月の選挙戦で民衆党と党首の柯氏は、既存政党からの脱却を掲げ、とくに政治とカネの問題と住宅問題などに焦点を当てて支持を集めていた。

また、中国と一定の距離を置く民主進歩党(以下、民進党)を横目に、中国との関係性が問われている若者に人気のSNSアプリなどで積極的に情報を発信。取り組みが功を奏し、主要3党の中で若者への訴求が最も成功したと言われ、立法院(国会に相当)7議席を獲得した。

2014年に発生した、当時の馬英九政権の過度な親中姿勢に「ノー」を突きつけた「ひまわり学生運動」から10年が経ち、現在の台湾の若者にとって、中国とは初めから外国のような存在である。

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